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タイトル: 物理的環境要因(騒音、振動、非電離電磁波)の生体影響(第2回 京都大学基礎物理学研究所研究報告書『電磁波と生体への影響-作用機序の解明に向けて-』,研究会報告)
著者: 中村, 裕之  KAKEN_name
著者名の別形: Nakamura, Hiroyuki
キーワード: 騒音
振動
電磁波
妊娠
生体影響
環境基準
発行日: 20-May-2005
出版者: 物性研究刊行会
誌名: 物性研究
巻: 84
号: 2
開始ページ: 303
終了ページ: 318
抄録: 物理的環境要因の健康影響を評価する目的で、騒音、振動、非電離電磁波の健康影響について総説した。職域で問題になる騒音性難聴という音による聴覚への物理的影響以外に、自律神経-内分泌系への影響の結果、食生活の乱れ、飲酒量の増大などの生活習慣の変化が生じ得るが、生活環境における騒音レベルは小さく、通常の生活環境で、これらの騒音影響が生じる可能性は極めて少ない。振動には、手持ち工具での作業のように、手にだけ伝達される手腕振動(局所振動)と、地ならし機などの車両を操作する際や、家屋の揺れに際して全身に暴露される全身振動がある。手腕振動と全身振動を厳密に区別して論じる必要があり、生活環境では、全身振動が問題になる。全身振動による健康影響として、職場での腰椎や妊娠子宮への機械的作用による腰痛や流産、あるいは慢性影響としての不眠や胃潰瘍などがあるが、実際の生活環境では、このような影響を引き起こす振動レベルよりはるかに小さく、生活環境での振動が、このような健康影響を引き起こすことはない。非電離電磁波の生体影響については、特に、通信や電子レンジに用いられるマイクロ波(周波数300MHz~30GHz、波長1m~1mm)の生体影響に焦点を当てた。職域で用いられるレベルはかっては高く、白内障が引き起こされたが、現行の環境基準(全身暴露時のSARで0.4W/kg)を超える暴露はもはや存在しない。その暴露基準以下であれば体温の上昇を伴わないか、あるいは伴っても微小であるために、影響があるとすれば非熱作用によるものということになる。レーダーを扱う軍人における一部の疫学データでは、脳腫瘍や造血器宮などの悪性新生物の発生との因果関係を肯定する研究成果が示されてはいるが、その暴露についてのデータが極めて曖昧であるために、疑問視されている。著者らの妊娠ラットにおける一連の実験結果から、非熱作用による正常妊娠に対する影響は、ほとんどなく、逆に、妊娠することでマイクロ波の熱作用に対するホメオスターシスが増加することが証明され、最もリスクが高い妊娠状態においてさえ、現行の環境規準によっての危険性がほとんど否定的であることが示された。したがって、多くの疫学データを同時に考え合わせ、環境暴露基準内での使用であるならば、マイクロ波の影響は存在しないとしてもいいと考えられる。このように、本論では、物理的環境における騒音、振動とマイクロ波の健康影響を、職域と生活域に区別し論じた。
記述: この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/110170
出現コレクション:Vol.84 No.2

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