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タイトル: 樺太原生林ニ於ケルえぞまつ、とどまつ、混淆狀態ノ硏究
著者: 山崎, 次男  KAKEN_name
著者名の別形: Yamazaki, Tsuguo
発行日: 20-Sep-1936
出版者: 京都帝國大學農學部附屬演習林
誌名: 京都帝國大學演習林報告
巻: 9
開始ページ: 1
終了ページ: 128
抄録: I. 本學樺太演習林ハ古丹岸團地及亞屯團地ノ兩者ニ分レ、前者ハ北緯49°附近、後者ハ國境近邊ニ位置ヲ占メテ居ル。其ノ地ヲ占ムル、えぞまつ、とどまつ林ハ多ク擇伐林型ヲ呈スルノガ通例デ徑ニ山地或ハ河岸ニとどまつヲ主トスル一齊林型ニ屬セシムベキ、特種林相ヲ見ルモ面積ハ前者ニ比スレバ極メテ狭小デアル。茲ニ兩團地ニ於ケルえぞまつ、とどまつ混淆狀態ヲ要約スレバ次ノ如クデアル。1. 本數配分ノ狀態ハ、副木ニ於テ最モ多ク、漸次徑級ノ增大ト共ニ本數ヲ減少シテ居ル。えぞまつハとどまつニ比較シテ、減少ノ程度ハ緩ク、殊ニ中徑木、大徑木ニ於テモ相當ナル本數ガ認メラレル。卽チ古丹岸團地ニ於テハ副木、小徑木、中徑木、大徑木ノ夫々占ムル割合ハえぞまつ48:22:19:11; ノとどまつ56:32:11:1ノ比トナリ、亞屯團地ニ於テハ、えぞまつ46:32:15:7;とどまつ68:28:3:1; ノ割合トナル。2. 胸高直徑3cm以上ノ全本數えぞまつ、とどまつノ混淆步合ハ、古丹岸團地ニ於テハ46:54トナリ、幾分とどまつ多ク、亞屯團地ニ於テハ58:42トナリ、えぞまつ多數ヲ示シテ居ル。3. 兩樹種混淆步合ハ選ブベキ林木ノ大サニヨツテ異ナリ、小徑木以上(胸高直徑10cm以上)ノ全本數ニ就テハ古丹岸團地50:50; 亞屯團地69:31ノ比トナリ。中徑木以上(直徑25cm以上)ノ全本數ニ對シテハ古丹岸68:32. 亞屯91:9. 更ニ大徑木ハ大半えぞまつニヨツテ占メラレ、古丹岸93:7, 亞屯99:1ノ割合トナル。4. 徑級別兩樹種混淆步合ハ、古丹岸團地ニ於テハ、副木42:58, 小徑木37:63, 中徑木59:41, 大徑木93:7ノ比トナリ、亞屯團地ハ副木49:51, 小徑木61:39, 中徑木88:12, 大徑木99:1ノ割合トナツテ、古丹岸團地ニ於ケル、副木、小徑木ハとどまつノ割合大ニシア、亞屯團地デハ、副木ノミとどまつノ混淆步合大トナリ、中徑木、大徑木ハ兩團地トモえぞまつノ割合多數ヲ占メ、徑級ノ增大ト共ニ急激ニえぞまつノ割合ヲ增加シテ居ル。5. 各群叢別ノ兩樹混淆步合ハ、古丹岸團地ニ於ケル、えぞまつ、とどまつ、えぞくろうすご、及えぞまつ、とどまつ、蘚類群叢ハ副木、小徑木、ニ於テえぞまつノ混淆步合少ク、中徑木、大徑木ハえぞまつ大トナリ、えぞまつ、とどまつ、おくやましだ群叢ハ副木、小徑木、中徑木、何レモとどまつノ割合優ツテ、大徑木ノミ、えぞまつが大ナル割合トナリ、えぞまつ、とどまつ、やまどりぜんまい群叢ハ各徑級共えぞまつノ混淆率大トナル。亞屯團地ニ於テハ、一般ニえぞまノ混淆步合ヲ增加シ、えぞまつ、とどまつ、えぞくろうすご群叢ハ各徑級共ニえぞまつ多ク、えぞまつ、とどまつ蘚類群叢及おくやましだ群叢ハ副木ニ於テハとどまつ優リ、其ノ他ノ徑級ハえぞまつノ割合大トナル。えぞまつ、とどまつ、やちぼうず群叢ハ副木、小徑木、何レモえぞまつノ混淆步合少ク、中徑木、大徑木ニテえぞまつ優勢ヲ占メテ居ル。6. 海拔高ノ差ハ、兩樹種混淆步合ニハ大ナル影響ナク、卽チ600-700m程度以下ニ於テハ、山麓ト上部ニヨツテ、大ナル差違ガ認メラレナイ。本地域ハ300-400m以上トナレバ濶葉樹(さうしかんば、をがらばな等)ヲ混ジ、800m附近マデ海拔高ヲ增スト共ニ、濶葉樹ノ混淆步合ヲ增加ス。卽チえぞまつ、とどまつハ北部系通有ノ混淆狀態ヲ保チ、高サノ增加ト共ニ、濶葉樹ヲ增ス傾ガアル。800m附近ヲ上レバ、はひまつ出現シテ、遂ニハ全面はひまつ帶トナルノガ通例ナルモ南面傾斜ニ於テハ、更ニ100-150m上リテはひまつ帶トナル。7. 敍上ノえぞまつ、とどどつヲ健全木ト腐朽木(茸木、差枝、霜割、根上リ、脂下リ等ノ疵木)トニ分類スレバ、古丹岸團地ノえぞまつハ健全木73%腐朽木27%、とどまつハ健全木63%腐朽木37%トナリ、亞屯團地ノえぞまつハ健全木80%、腐朽木20%、とどまつハ健全木81%腐朽木19%トナル。徑級別腐朽木ノ狀態ハ、えぞまつハ小徑木ニ於テ最モ少ク、副木、中徑木、大徑木ノ順究ニ增加シ、とどまつハ副木ニ於テ最モ少ク、徑級ノ增大ト共ニ增シ、えぞまつヨリモ大ナル增加率ヲ示シテ居ル。8. 枯立木ハ生立木ニ對シテ古丹岸デハ15%, 亞屯團地ニテハ16%ヲ占メ、副木及大徑木ニ於テ最モ少ク、小徑木、中徑木ニテ最大ノ割合トナリ、胸高直徑20-30cm附近ノ林木ガ枯木トナルモノ最多ヲ占メテ居ル。9. 樹種別枯立木ノ生立木ニ對スル割合ハ、古丹岸團地えぞまつ10%, とどまつ19%, 亞屯團地えぞまつ15%, とどまつ19%, トナリ、兩團地略近似ノ結果トナル。各徑級別ノ割合ハ古丹岸團地ニ於テハ、副木えぞまつ6%, とどまつ4%, 小徑木えぞまつ15%, とどまつ27%, 中徑木えぞまつ15%とどまつ44%, 大徑木えぞまつ11%, とどまつ35%トナリ、亞屯團地ニ於テハ副木えぞまつ19%, とどまつ10% , 小徑木えぞまつ12%, とどまつ26%, 中徑木えぞまつ7%, とどまつ62%, 大徑木えぞまつ6%, とどまつ78%トナル。卽チえぞまつ枯立木ハ小徑級ニ比較的多クとどまつハ徑級ノ增大ト共ニ枯立木ノ割合ヲ增加シテ居ル。10. 枯立木ノ健全木ニ對スル割合ハ、古丹岸團地えぞまつ14%, とどまつ27%, 亞屯團地えぞまつ18%, とどまつ22%, ヲ示シ、とどまつハ兩團地トモ徑級ノ增大ト共ニ枯立木ノ割合ヲ急增スルモ、えぞまつハ古丹岸團地ニ於テ中徑木最大トナリ、小徑木ニ最モ少ク、亞屯團地デハ徑級ヲ增スト共ニ漸減シテ居ル。11. 枯立木ニ於ケル兩樹種混淆步合ハ胸高直徑3cm以上ノ全本數ニ就テハ、古丹岸デえぞまつ29%とどまつ71%, 亞屯團地デえぞまつ51%, とどまつ49%ヲ占メテ居ル。徑級別ニ就テハ、古丹岸デハ副木52:48, 小徑木21:79, 中徑木25:75, 大徑木74:26ノ割合ヲ示シ、亞屯團地ニ於テハ副木66:34, 小徑木38:62, 中徑木26:74, 大徑木61:39ノ混淆率トナリ、兩團地共ニ副木及大徑木ハえぞまつノ割合大ニシテ、小徑木、中徑木ニ於テハとどまつノ割合大トナル。12. 稚樹ト稱スルハ胸高直徑3cm以下總テノ前生樹ヲ含メタルモノデ、發芽床ニヨツテ區別シ、卽チ倒木上、地上ノ兩者ニ分類セラレル。此等ノ稚樹ヲ各樹高階別ニ就キ存立スル割合ヲ求ムレバ、古丹岸倒木上ノ小形稚樹ハえぞまつが總本數ノ約半ヲ占メ、樹高ノ增大ト共ニ本數ヲ減少シテ居ル。地上ノ稚樹ハえぞまつ、とどまつ何レモ10cm以下ノ小形稚樹極メテ少ク、10-25cm階ノモノ最多ヲ占メ、更ニ樹高ノ增大ト共ニ本數ヲ減少スル。樹高ニヨル減少ノ割合ハ倒木上ニ於テハ、とどまつ幾分緩ナル傾向ヲ有シ、地上ニ於テハえぞまつ緩ナル傾向ガ窺ハレ、亞屯團地又同樣ナル狀態ガ認メラレル。斯ノ如ク倒木上ニ於テハ10cm以下ノ小形稚樹多數ヲ占ムルモ、地上ハ小形稚樹、極メテ貧弱ナル結果トナツテ居ル。卽チ地上ニ於ケル小形稚樹ハ倒木上ニ比シテ、消失ノ割合多ク、且ツ極メテ不安定ナルコトヲ物語ルモノデアラウ。13. 古丹岸團地倒木上ニ於テハ、えぞまつ69%, とどまつ31%, 地上ニ於テハ、えぞまつ28%, とどまつ72%トナリ、亞屯團地倒木上ハえぞまつ72%, とどまつ28%, 地上ニ於テハえぞまつ35%, とどまつ65%トナル。亞屯團地ハ稚樹ニ於テモ古丹岸ヨリ、えぞまつノ混淆步合大ニシテ、兩團地トモ倒木上ノ兩樹種混淆關係ハ主木バ昆滑率ト密接ナル關係ガアル。14. 兩團地共倒木上ノえぞまつハ樹高ノ增大ト共ニ步合ヲ僅カニ減少シ、とどまつハ增加スル傾向ガアル。地上ニ於テハ古丹岸團地ハ、兩樹種トモ樹高ニヨツテ大ナル變化ハ認メラレズ、亞屯團地ニテハ、えぞまつハ樹高ノ增大ト共ニ混淆步合ヲ增加シ、とどまつハ減少シテ、倒木上ノ結果ト反對ノ現象ヲ呈シテ居ル。15. 倒木地上ヲ合算セル總合結果ニ就テ見レバ、古丹岸團地えぞまつ45%, とどまつ55%, 亞屯團地えぞまつ52%, とどまつ48%トナリ、前項ニ揭ゲタル胸高直徑3cm以上全本數ノ兩樹種混淆步合ト近似シテ居ル。16. 稚樹及副木、主木ヲ合算セル全本數ノ兩樹種混淆步合ハ兩團地トモ稚樹全本數ノ混淆步合ト合致シテ居ル。此レハ古丹岸ニ於ケル11個所、亞屯團地ニ於ケル7個所ノ調査地中例外ナク合致スル結果デアル。17. 兩團地トモえぞまつハ5cm以下ノ稚苗ニ於テハとどまつニ比シテ、混淆步合大ナルモ、漸次樹高ノ增大ト共ニ、えぞまつノ割合ヲ減少シ、樹高1m以上ノ大形稚樹及副木階ニ於テ最小ノ混淆步合トナリ、更ニ徑級ヲ增スト共ニ再ビえぞまつヲ增加シテ居ル。とどまつハ5cm以下ノ稚樹デ最モ少ク、樹高1m以上ノ大形稚樹及副木階ニ於テ最大トナリ、更ニ徑級ノ增大ト共ニ、混淆步合ヲ減少シテ居ル。18. 稚樹ノ枯立木ハ、古丹岸團地ノ倒木上ニテハ、えぞまつ65%, とどまつ36%トナリ、地上ニ於テハ、えぞまつ31%, とどまつ69%トナル、亞屯團地倒木上ハ、えぞまつ66%とどまつ34%トナリ、地上ニ於テハ、えぞまつ41%, とどまつ59%トナル、兩團地共倒木地上ノ枯立木ニ於ケル。兩樹種混淆步合ハ、生立木稚樹ノ兩樹種混淆率ト極メテ近似シテ居ル。19. 倒木、地上ノ枯立木稚樹ヲ合算セル總合結果ハ古丹岸團地ニ於テえぞまつ39%, とどまつ61%亞屯團地えぞまつ52%, とどまつ48%トナル。稚樹、副木、主木ヲ含ム、全枯立木ノ混淆步合ハ、古丹岸38:62; 亞屯52:48ト全ク同一ノ結果トナリ、是亦生立木稚樹ノ混淆率トモ略合致シテ居ル。20. えぞまつ枯立木ハ樹高1m以下ノ稚樹ニ於ア、比較的少ク、樹高1m以上ノ大形稚樹及副木ニ於テ多數ヲ占メ、徑級ノ增大ト共ニ減少シ、大徑木階ニ到ツテ、再ビ多數ヲ占メ、とどまつハ樹高1mマデハ枯立木トナルモノ多數ニ上ルモ、大形樹及副木階ニテ比較的少ク、小徑木、中徑木ニ於テ漸增シテ居ル。21. 敍上ノ結果、主木及副木ノ兩樹種混淆步合ハ稚樹ニ於ケル、混淆步合ト近似シ、殊ニ稚樹ノ混淆步合ハ、全本數ニ於ケル混淆率ト合致スルコト、及ビ、枯立木ニ於テモ稚樹ノ兩樹種混淆步合ノ、生立木ト同ク、副木及主木又ハ枯立木全本數ノ混淆比ニ合致スルコ、且ツ枯立木ノ兩樹種混淆步合ガ生立木ニ於ケル、混淆率ト略同一ノ値ヲ示セルコトハ本地域ノ原生林ニ於ケル兩樹種ガ平衡狀態ニアルコトヲ示セルモノデ、天然ニ放置スル場合ハ、全般的ニ近キ將來ニ於テ兩樹種ノ混淆步合ニ急激ナル變化ノ起ラザルコトヲ物語ルモノデアラウ。混淆步合多ク、古丹岸及亞屯團地ニ於ケルト略同樣ナル兩樹種混淆步合ヲ示シテ居ル。23. 馬群潭川以南ノ調査地、內淵川流域、野寒、豐原、淸水、冨內附近ニ於テハ、とどまつハえぞまつヨリ多ク、南部系森林獨特ノ混淆步合ヲ示シテ、兩樹種混淆步合ハ馬群潭川ヲ境界トシテ、著シキ相違ガ認メラレ、ソレヨリ南部ハとどまつ多ク、北部ニ於テハえぞまつ優勢トナツテ居ル。II. 次ニ花粉分析方法ヲ適用シテ、洪積期後半ヨリ發逹セル水蘚濕野ニ就キえぞまつ、とどまつ混淆步合ノ變遷ヲ明ニシテ、過去ニ於ケル兩樹種混淆狀態ヲ知ルコトヲ得タ。亞屯川水蘚濕野、保惠川水蘚濕野、網場附近水蘚濕野、ちよろない川水蘚濕野、辨慶川水蘚濕野ノ花粉分析結果ハ北部森林ト比較シ、內淵川下流水蘚濕野、江ノ浦水蘚濕野ハ南部森林ト比較考察シ得ルモノデアル。花粉分析ニヨツテ得タル結果ハ次ノ如クデアル。24. 亞屯川水蘚濕野ハ濕野ノ成生ヲ開始セル洪積期後半ニ於テえぞまつノミガ僅ニ侵入シ、其ノ後ニ至ツテ深サ4.6m個所デとどまつノ出現セルコトガ認メラレル。3.2m附近マデハとどまつノ混淆步合ヲ漸次增加シ、現况森林ニ見ル如キ、えぞまつ、とどまつノ比74:26トナリ、爾來現在ニ至ルマデ、長年月ノ間兩樹種混淆步合ニハ大ナル變化ナク、常ニえぞまつハとどまつヨリ著シク優勢ヲ持シテ居ル。25. 保惠川水蘚濕野ノ泥炭最深部ハえぞまつノミニヨツテ占メラレ、5.2mニ於テ僅ニとどまつ出現シ、4.8mマデとどまつノ割合ヲ急ニ增加シテ、えぞまつ、とどまつ77:23ノ割合トナリ、以來今日マデ大ナル變化ヲ認メズ.長年月ノ間えぞまつ著シク優勢ヲ保ツテ居ル。26. 網塲水蘚濕野ハ冲積層上ニ成立セルモノデ、濕野發達ノ當初旣ニえぞまつ、とどまつノ兩樹種存在シ、90:10ノ割合ヲ示シテ3.2mノ附近マデ漸次とどまつヲ增加シ、63:37トナツテ以來今日マデ大ナル變動ナク、えぞまつ優勢ヲ持績シテ居ル。27. ちよろない川下流水蘚濕野最深部ノえぞまつ、とどまつハ旣ニ現况森林ノ混淆步合ニ近キ程度ニ達シ、爾來今日マデえぞまつ極メテ優勢ヲ占メテ居ル。28. 辨慶水蘚濕野ハ洪積層上ニ成立セルモノデ、濕野發達ノ當初えぞまつ、とどまつノ比ハ、93:7ヲ示シ、其ノ後漸次とどまつノ割合ヲ增加シテ、0.5m附近ニ於テハ、63:37ノ如キ現况森林ニ見ル混淆步合ニ逹シ、爾來今日マデ、大ナル變化ナク、依然えぞまつ優勢ヲ持績シテ居ル。29. 內淵川水蘚濕野ハ冲積層上ニ成立セルモノデ、泥炭最深部ニ於テハえぞまつ、とどまつハ21:79ノ割合トナリ、とどまつ優勢ニシテ、現况樺太南部ノ原生林ニ於ケル、兩樹種混淆狀態ト近似ノモノデアル。爾來今日マデとどまつ優勢ヲ持績シテ大ナル變化ハ認メラレナイ。30. 江ノ浦水蘚濕野ハ冲積層上ニ成立シ、最深部ニ於テハえぞまつ、とどまつハ33:67ノ比ヲ示シ、0.6mノ深サマデハ、一樣ナル混淆步合ヲ持績スルモ、爾來今日マデとどまつ漸次優勢トナツテ居ル。31. 亞屯、保惠、網場、敷香、辨慶ノ各水蘚濕野ノ結果ニ見ル知ク、北部ニ於テハ過去長年月ノ間えぞまつハとどまつヨリモ優勢ニシテ、現况北部森林ニ見ル如キ、兩樹種混淆步合ヲ持績シ、內淵、江ノ浦水蘚濕野ノ結果ニヨレバ、濕野發達ノ當初ヨリ、とどまつ優勢ニシテ、今日マテ長年月ノ間現况南部系森林ノ知キ兩樹種混淆關係を繼續シ、少クトモ冲積期ニ入ツテハ、兩樹種ノ混靖步合ガ、顚倒スル如キ大ナル變化ハ認メラレナイ。32. 洪積層上ニ成立セル、亞屯及保惠水蘚濕野ハ、濕野發達ノ當初ニ於テとどまつ發見シ得ラレズ僅ニえぞまつガ出現セルニ止リ、其ノ後或年月ヲ經テ、とどまつノ現レタルコトガ認メラレル。冲積層上ニ成立セル網場及敷香附近水蘚濕野ノ最深部ニ於テハ、旣ニとどまつハ或一定ノ混淆步合ヲ占メ略現况森林ニ近キ値ニ達シテ居ル。之ニヨツテ見レバ、とどまつハえぞまつヨリ後ニ侵入シ、洪積期後半ヨリ、冲積期當初ニ亙ツテ漸次增加シ、冲積期ニ入ツテ現况北部系森林ニ見ル如キ混淆步合ニ達シタモノデアラウ。
記述: タイトルページ, 目次等を追加しファイルを差し替え(2024-07-18)
URI: http://hdl.handle.net/2433/190453
出現コレクション:第9号

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