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タイトル: SMS における主語削除 : ドイツ語における一考察
その他のタイトル: Subject Ellipsis in SMS : An Investigation on German
著者: 上村, 昂史  KAKEN_name
著者名の別形: UEMURA, TAKASHI
キーワード: 主語削除
SMS
話しことば性
発行日: Dec-2017
出版者: 京都大学大学院人間・環境学研究科言語科学講座
誌名: 言語科学論集
巻: 23
開始ページ: 57
終了ページ: 81
抄録: 現代社会におけるコミュニケーションでコンピュータやインターネットはもはや必要不可欠なものとなっている。近年それらサイバー・ネットワークを使用したコミュニケーションに関する研究が盛んに行われている。本稿で扱う内容も、これに準じる。情報端末を介したコミュニケーションを提供するツールの先駆けとなったもののひとつに、SMSが挙げられる。携帯電話番号を登録しておけば、短いメッセージを送ることができるサービスである。このSMSで書かれている文に関して、(1) に示すようなある特徴が指摘されている。(1) (e) Bin gut in Hamburg angekommen.be-1sg.Pres. good prep (in) Hamburg arrive-p.p.‘(I) have arrived well in Hamburg. ’周知の通り、現代ドイツ語では主語の標示が義務的であるとするのが主流だが、SMSでは主語代名詞 (ここでは 1人称単数の ich) が標示されない文が多見される。特に、後述するように ich が削除される現象がよく見られる。本論では、当該現象を「主語削除(Subjektellipsis) 」と便宜上称し、特に 1人称単数 ich が省略されるケースの分析を行う。すなわち、SMSにおける主語削除が生起する条件または由来が考えられるのかにつき見ることにする。まず第2章では、標準ドイツ語および SMSにおける主語削除に関する先行研究について見る。第3章では、さらに掘り下げてドイツ方言における主語削除について概観する。そして第4章では、本研究の設定する研究対象および問題について述べる。第5章では、第4章で述べたことに基づき行った調査の概要について述べ、第6章でその調査によって得られた結果について述べ分類を行う。第7章では、SMSの主語削除が起こる由来について、コミュニケーション研究を起点にして考察する。最後に第8章ではまとめと今後の研究課題について述べる。本研究は、主語の標示が義務的とされてきた経緯のある現代ドイツ語において、従来の文法研究ではあまり取り扱われて来なかった部分の一端を明らかにすることに資するものであると考えられる。また、ドイツ語の語法に関する記述を目指すものであるためドイツ語教育の分野にも応用が見込まれると考える。
In this paper, I survey on the ellipsis of the first singular subject pronoun in German (ich) which is found in SMS. Compared with the written standard of German or German dialects, SMS allows it more widely. Thus, I seek for the background of this phenomenon. I used a SMS-Corpus, MoCoDa (Mobile Communication Database), which was created by a project of Duisburg-Essen University, supervised by Prof. Dr. Wolfgang Imo. Based on the research on the corpus, I clarify that the subjectdrop occurs without depending on preceding sentences. Then, I insist on that this phenomenon reflects the spoken style of German, based on the model proposed by Koch and Oesterreicher (1985). Therefore, I argue that the drop of “ich” comes from the spoken variety of German, using a data taken from conversation of German native speakers. Finally, I point out that subject-ellipsis of ich occurs also in them. It is then proposed that the subject-ellipsis of German in SMS reflects the orality of it.
著作権等: © 2017 京都大学大学院 人間・環境学研究科 言語科学講座
DOI: 10.14989/230343
URI: http://hdl.handle.net/2433/230343
関連リンク: http://www.hi.h.kyoto-u.ac.jp/modules/PLS/
出現コレクション:第23号

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