治療中, 腰椎転移をきたした胚細胞腫瘍の3症例

Abstract

We report three patients with germ cell tumors whose diagnosis was confirmed in the progress of the first-line chemotherapy regimen as metastatic cancer in the lumbar vertebra. Two of the 3 cases were mixed-type nonseminoma, and the other case was an extragonadal tumor. After the first-line chemotherapy regimen, the patients underwent salvage chemotherapy using Paclitaxel either with or without irradiation. We confirmed the efficacy that the bone metastasis had completely been resolved and the lymph node metastasis was significantly reduced after the completion of all treatments.

症例1:31歳男。半年前からの右精巣腫大で受診し、精巣腫瘍の手術で入院した。組織型は大部分が胎児性癌で一部未分化奇形腫を含む混合型非セミノーマ胚細胞腫瘍で、傍大動脈リンパ節転移を認め、臨床病期pT3N3M0、stageIIIbであった。術後塩酸ブレオマシン、エトポシド、シスプラチンによる BEP療法とエトポシド、イホスファミド、シスプラチンによるVIP療法施行後に第3腰椎左側に骨転移を認めたが、PETでの異常集積は認めなかった。追加療法としてパクリタキセル、イホスファミド、ネダプラチンによるTIN療法と放射線療法の施行で骨転移像は消失したが、腫瘍マーカーの再上昇し再度 TIN療法施行した。発症後7年生存中であった。症例2:27歳男。左精巣腫大を3年間放置後に呼吸苦で受診し、精巣、腫瘍、肺転移で緊急入院した。組織型は胎児性癌、絨毛癌、未熟奇形腫、卵黄嚢腫の成分が混在した混合型非セミノーマ胚細胞腫瘍で、傍大動脈リンパ節、縦隔リンパ節、多発肺転移を認め、 pT3N1M1a、stageIIIcであった。腫瘍摘出後のBEP療法後に骨転移を認め、多発肺転移も残存するためTIN療法を追加施行し、骨転移像は改善し、腫瘍マーカーも陰性となった。症例3:40歳男。左後背部痛で受診し、CT上、左腰筋付近に11×12cmの腫瘍を認め、針生検で性腺外生殖細胞腫瘍と診断され当科紹介となった。MRI上、精巣、脊椎に異常なく、転移も認めずpTxN0M0、stageIであった。BEP療法後のTIN療法施行で第3腰椎左側の骨転移を認め、骨転移巣への放射線療法、TIN療法を施行で骨転移は消失した。