The Impacts of Migration and Remittances on School Attainment of Children in Rural Cambodia

Abstract

途上国における出稼ぎ労働者の数と仕送りが急速に増加しており、それが家計におよぼす影響に関心が集まっている。本稿では、貧困世帯が多数居住するカンボジア農村を対象に、出稼ぎと仕送りが、6歳から17歳までの子供の就学、とりわけ、就学達成度におよぼす影響について分析する。そのために、『カンボジア社会経済調査2009年版』を用い、操作変数法を適用することにより分析を行う。従来の研究では、適切な操作変数が得られず、出稼ぎ家計員の有無と仕送りの変数を同時に組み込んで、出稼ぎと仕送りによる子供の教育への純効果を推計することは困難であった。この点を克服するための方法を考案した点に、本稿の貢献がある。分析結果は、仕送りによる正の影響は家計員の出稼ぎにともなう不在による負の影響を相殺し、純効果が正であること、および、この効果は、とくに、女子において顕著であることを示している。