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タイトル: 臓器移植の基礎的研究 : 保存臓器組織の生活反応を中心として
著者: 木下, 修二郎  KAKEN_name
著者名の別形: KINOSHITA, Shuziro
発行日: Mar-1967
出版者: 京都大學結核研究所
誌名: 京都大學結核研究所紀要
巻: 15
号: 2
開始ページ: 105
終了ページ: 123
抄録: 臓器移植の研究は, 近年急速に発展し, とくに腎臓などでは, 臨床的にも応用されるまでにいたっている。しかしながら, その反面, 臓器移植の普及を妨げるものの一つとして, 移植用臓器の供給源をどこに求め, どのようにしてこれを保存するかの問題がある。これの解決には, 移植用臓器としての屍体臓器や切除臓器を如何にして長時間保存するかという, 移植に好適な臓器保存法を確立することが先決問題である。このように, 臓器の保存法確立の必要性が増しつつあるにもかかわらず, 在来の保存法ではみるべき成果が挙げられていない。これは移植用として保存された臓器が移植に可能な程度の生活力を保持しているか否かを判定する方法が確立されていないからである。そこで, 著者は, 保存臓器の生活反応, とくに組織の増殖能や呼吸能について検討することにより, 目前におかれた臓器が移植可能であるか否かを迅速に判定する方法を見出そうとした。組織の増殖能については, ^3Hサイミヂンのオートラジオグラフィーや組織培養法を用いて検討した。前者によりDNA代謝能を, 後者により細胞自体の増殖能を直接的に知りうると考えたからである。組織の呼吸能については, TCAサイクルと糖代謝能とについて検討した。そのさい, 前者ではコハク酸脱水素酵素活性について組織化学的に, 後者ではC^<14>標識グルコースを用いて生化学的に検討した。それらについての成績から以下のようにいうことが出来る。1) ^3Hサイミヂンのオートラジオグラフィーは, 肝臓や脾臓などのように, 細胞の新生や交代が旺盛, かつ短時間に進行する特定の臓器の場合にのみ応用しうる方法である。2) みのならず, 本法は, 成績の判定までに2週間を要し, 目前におかれた保存臓器の移植可否を短時間で判定する方法としては不適当である。3) 組織培養法は, 臓器摘出直後の組織培養の所見からみて, 多くの臓器の場合に応用しうる方法であり, 成績の判定も容易, かつ確実であるなど, 組織の増殖能の判定法としての多くの優れた点を持つものである。4) しかしながら, 本法には成績の判定までに少なくとも7日を要する欠点がある。5) TCAサイクル系内のコハク酸脱水素酵素活性は, 一般に, 増殖能や糖代謝能などに比べると, はるかに長時間保持される。この点からみて, コハク酸脱水素酵素活性の測定のみにより, 保存臓器の移植の可否を判定することは危険である。6) C^<14>標識グルコースを用いる糖代謝能の測定法は, 放射性同位元素を用いる施行容易な方法であり, 30分内外で測定しうる利点を持つものである。さらに, 各種のC^<14>標識グルコースを用いることにより, TCAサイクル系と糖代謝系との調節系についても検討しうるので, 保存臓器組織の呼吸能の測定法として充分応用しうるよい方法である。7) C^<14>標識グルコースを用いて測定した糖代謝能が臓器の摘出直後のそれの90%以上に保持されている場合には, その臓器のTCAサイクルや組織培養法などの成績からみた増殖能は, 臓器の摘出直後と同程度に保持される。8) このことは, 本法が前述の目的にそった優れた方法であることを示すものであり, 臓器組織の呼吸能の測定法は臓器移植の分野において, 広く応用しうる価値あるものと考えられる。
記述: この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/51803
出現コレクション:15巻2号

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