無機能腎を呈した尿管内反性乳頭腫の1例

Abstract

66歳男.健診で左水腎症を指摘された.経静脈性腎盂造影では左腎および左腎盂尿管は描出されなかった.逆行性腎盂造影では総腸骨動脈交叉部の高さに, 陰影欠損を認め, 同部で完全閉塞していた.CT上, 左腎は水腎症を呈しており, 腎実質は菲薄化していた.また, 左尿管は総腸骨動脈交叉部の高さで閉塞し, 閉塞部に一致して腫瘍を疑わせる陰影を認めた.これらのことから, 左尿管腫瘍と診断し悪性腫瘍の可能性を否定できないため, 左腎尿管全摘除術を施行した.腎尿管ともに周囲との癒着はみられず, 剥離は容易であった.腫瘍の周囲への浸潤もみられなかった.術後経過は良好であった.病理組織学的に左尿管下部に約2.5cmの内方へ突出する非乳頭状の腫瘍を認めた.この部では移行上皮が内反性に増生していたが, 核の異型や細胞分裂像はみられなかった.また, 粘膜下への浸潤もみられなかった.以上より, 尿管に発生した内反性乳頭腫と診断した

Inverted papilloma of the ureter is a rare lesion. We report a case of ureteral inverted papilloma with a non-functional kidney. A 66-year-old male was admitted to our hospital for investigation of left hydronephrosis. Left ureter tumor was diagnosed on X-ray (retrograde pyelogram, CT) and total nephro-ureterectomy was performed. The pathological diagnosis was ureteral inverted papilloma. Diagnosis and treatment of ureteral inverted papilloma are discussed.