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ファイル | 記述 | サイズ | フォーマット | |
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KJ00006165130.pdf | 1.99 MB | Adobe PDF | 見る/開く |
タイトル: | 数理物理の新展開 : ランダム行列とSLE(第54回物性若手夏の学校(2009年度),講義ノート) |
著者: | 香取, 眞理 ![]() |
著者名の別形: | Katori, Makoto |
キーワード: | 数理物理 統計物理 確率過程 共形場理論 Brown運動 Bessel過程 Itoの公式 マルチンゲール ランダム行列 非衝突拡散過程 ランダムウォーク フラクタル曲線 臨界現象 共形不変性 Schramm-Loewner evolution(SLE) Virasoro代数 |
発行日: | 5-Mar-2010 |
出版者: | 物性研究刊行会 |
誌名: | 物性研究 |
巻: | 93 |
号: | 6 |
開始ページ: | 881 |
終了ページ: | 910 |
抄録: | 前半はランダム行列と非衝突拡散過程について(第1節-3節),後半はSLEと共形場理論について(第4節-6節)解説する.数理物理の分野でいま盛んに研究されているこの2つのトピックスは,一見すると無関係に思えるが,Bessel過程とよばれる確率過程を通じて深く関連しているという不思議さを伝えたい.ランダム行列とは成分が乱数で与えられる行列のことである.ただし行列に対称性を課す.そうするとすべての成分が独立という訳にはいかなくなるが,それでもなるべくランダムに各成分を生成させることにする.例えば,サイズNのランダムなHermite行列はN^2個の独立な実乱数を用いて生成できる.Hermite行列なのでユニタリー行列で対角化できてN個の実固有値が定まる.行列成分がランダムなのでN個の実固有値もランダムだが,それらはもはや独立ではない.N個の実固有値を直線上のN粒子の位置と見なそう.すると粒子間に(距離に反比例する)斥力が働く1次元N粒子系が得られる.ランダム行列理論は「独立な乱数から強く相互作用する系を生み出す理論」である.複素平面の実軸の上側を上半平面という.原点を出発点とする1本の(有限の長さの)曲線を上半平面に描く.上半平面から,いま描いた曲線を取り除く.曲線がループを持つときにはそのループで囲まれた領域も一緒に取り除くことにする.残りは当然,上半平面の「部分」になる訳だが,その「部分」を元の上半平面全体に写す(つまり元に戻す)共形変換(等角写像)が必ず存在する.これをRiemannの写像定理という.この変換の逆を考えよう.すると,元々は何も無かった上半平面に曲線を生み出すことができる.この原理をBrown運動の理論と組み合わせたのが,2000年に発表されたSchramm-Loewner Evolution(SLE)である.フラクタル物理学や相転移・臨界現象の統計物理学で重要な役割を果たす様々なランダムな連続曲線をSLEで自在に生成できることが,この10年の間に分かってきた.(2006年にWernerはSLEと共形場理論の研究で数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した.) |
記述: | この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。 |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/169256 |
出現コレクション: | Vol.93 No.6 |

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