<特集論文>指標からみたインド : 環境の持続可能性と社会経済開発の現状

Abstract

本論は、環境の持続可能性および社会経済開発の現状を評価する既存の指標6つについて概説し、これを用いて「世界の中のインド」を明らかにしようとするものである。分析の結果、人間社会にとって有用な資源の生産をもとに環境をとらえた場合、インドの環境は持続不可能な状態にあることが明らかになった。また、一人当たり所得や人間開発指数といった指標から見た場合には、世界の中で相対的に低い位置にいるものの、主観的幸福感は世界の平均値を示していることから、同国民の幸福感は所得や人間開発といった理念と異なる要因により規定されていることが推察された。今後のインドの発展を考えた場合には、所得向上や人間開発といった視点から開発を進めるのではなく、多様な生態的･文化的基盤に配慮しながら、インド国民の主観的幸福感を規定する要因について詳細に分析を進め、これに立脚した独自の発展の追求を進めていくことが必要と考えられる。

This paper aims to investigate the current status of environmental sustainability and socioeconomic development in India, using six popular indicators. The analyses of the ecological footprint accounting indicated that environmental sustainability in India was low. Socio-economic indicators such as per capita GNI or the Human Development Index in India were relatively low, but subjective well-being showed similar score to the world average. In conclusion, an original developmental paradigm which pays due care to Indian bio-cultural diversity might contribute to the well-being of Indian people.