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bussei_el_032602.pdf | 3.81 MB | Adobe PDF | 見る/開く |
タイトル: | <修士論文>細胞の自立力学 |
著者: | 田辺, 光弘 |
著者名の別形: | Tanabe, Mitsuhiro |
発行日: | May-2014 |
出版者: | 物性研究・電子版 編集委員会 |
誌名: | 物性研究・電子版 |
巻: | 3 |
号: | 2 |
開始ページ: | 1 |
終了ページ: | 91 |
論文番号: | 032602 |
抄録: | 「群れ」はユビキタスで、イワシ、ムクドリ、アリ、更にはバクテリアやアメーバも群れで行動する。ここで「群れ」とは単に局在しているということではなく、生存戦略の手段としての協調的な集団行動を指す。多くの場合、集団を牽引するリーダーが不在で、各個体は自分の周りの局所的な情報のみに従い行動する。それでもあたかも全体が一つの意志を共有しているかのごとく振る舞う [7] [8] [35]。ここに「群れ」の面白さがある。我々はアメーバをモデル生物に選び、興奮性と走化性のある粒子からなる多体モデル Swarm Oscillators を考え、自発的に現れる秩序的な挙動を調べた。以下の二つの成果を得た。まず一・つ目の成果について説明する。先行する巌佐氏らの研究で本モデルが走化性のある細胞集団の動きを再現することが予言された。その後、具体的に D.discoideum が飢餓状態に起こす凝集行動に似た振る舞いが発見された。そこで私は具体的に解を構成するという最も明らかな形で、その見つけられた解の存在を証明した。さらにその構成した解を詳しく調べることで、凝集過程において位相面の特異点が重要であることを発見した。また D.discoideum を用いた実験も行い、実際の系との整合性も確認した。スパイラル状の波が凝集に伴うことは 70年代からよく知られていた事実であるが、数理モデルでそのメカニズムを解き明かしたのは本研究が初である。次に二つ目の成果について説明する。本モデルが提案された当初はパラメータチューニングにより現れる粒子の様々な振る舞いに興味が持たれ、走化性粒子の示す全ての振る舞いを説明し得ると期待された。そして少数粒子の場合に限り、それぞれの現象のメカニズムが巌佐氏により説明された。しかし多体現象は未解明だった。そこで私は十分に粒子数が多い状態で何が起こるかを予言する理論を作った。先行する結果と全く矛盾せず、あらゆるパラメータ領域でのモデルの挙動を定性的に説明できた。本モデルは走化性粒子に対する広いクラスの数理モデルを包含し、将来的には全ての走化性粒子の研究で用いられることになるだろう。また社会現象に対しての適用を唱える研究も現れ [39]、本モデルが適用できる射程は予想を上回る広がりを見せている。本研究の成果は後続する数多くの研究に影響を与えることと信じている。以上が私の研究内容である。 |
DOI: | 10.14989/187329 |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/187329 |
出現コレクション: | 3巻2号 |
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