ダウンロード数: 2698

このアイテムのファイル:
ファイル 記述 サイズフォーマット 
103_101.pdf1.12 MBAdobe PDF見る/開く
タイトル: リアリズム小説の換喩的性格
その他のタイトル: Le caract?re m?tonymique de la fiction r?aliste
著者: 北村, 直子  KAKEN_name
著者名の別形: Kitamura, N
キーワード: 文学理論
小説
リアリズム
換喩
物語
th?orie litt?raire
fiction
r?alisme
m?tonymie
histoire
発行日: 25-Mar-2013
出版者: 京都大學人文科學研究所
誌名: 人文學報
巻: 103
開始ページ: 101
終了ページ: 126
抄録: 本稿では,「リアリズム」と呼ぶものの最低限の必要条件を,その換喩的性格,とりわけ作品の舞台 (作中世界,テクストの指示対象世界) の設定のしかたに求め,それが物語読解の本来的傾向によるものであることについて論じる。まず (小説の) 「リアリズム」という用語は,「物語の情報にたいする読者の期待を現実世界との地続き感として形成する言葉の振る舞い」といったん規定しうる。作中世界が「われわれの世界というより大きな世界のなかに明確に連続的に根を下ろすこと」 (クリストファー・ナッシュ) がリアリズム小説の必須条件なのである。そのさい,作中世界を現実世界につなぎ止めるのは,テクストに明記された既存 (現実) の固有名の機能である。このように考えるならば,リアリズム小説の作中世界の設定は一種の約束事として記述することができる。現実世界と作中世界とは「全体」と「部分」という換喩的な関係にあり,この関係を読者が認めることによって「換喩契約」が成立する。また物語論でいう「物語価値性」の観点から,この「換喩契約」が物語読解の本来的傾向に則ったものであることも指摘できる。小説においては,ほんとうにありそうなことだと思わせることが,その物語を語る理由となることがある。同じ性質のできごとでも,それが現実世界とかけ離れたお伽話世界の住人の身に起こるより,リアリズム小説の登場人物の身に起こったほうが身近であり,物語る理由がより強化される。実際,19世紀以降の読者が,社交界,暗黒街,貧困社会といった特定の社会環境 (milieu) の記述としての物語価値を小説に対して期待してきたのである。リアリズム小説ではまた,テクストの構成原理自体も換喩的傾向を持つ。ロマン・ヤコブソン,エーリヒ・アウエルバッハ,ロラン・バルトらが強調したその原理もまた,現実世界と作中世界との換喩的関係を強化している。本稿ではリアリズム小説のこの二重の換喩性をめぐるものである。
Quelles sont les conditions n?cessaires de ce que l'on appelle le "r?alisme" du roman? Dans notre article, nous proposons de les d?finir ? partir de son caract?re m?tonymique, que nous appliquons surtout aux propri?t?s du monde auquel se rapporte le texte fictif. Ce caract?re m?tonymique d?termine le mode de lecture du r?cit. Le "r?alisme" romanesque pourra d?s lors ?tre d?fini comme une conduite verbale qui mod?le l'attente du lecteur sur une sensation de contigu?t? du monde fictif et du monde r?el. Dans le roman r?aliste, le monde fictif "s'enracine [...] dans un plus grand monde qui est le n?tre" (Christopher Nash). Tel est le sch?ma de la relation m?tonymique entre les deux mondes, op?r?e en particulier par le fonctionnement des noms propres r?els dans le texte de fiction. Cet appariement des mondes dessine une relation pars pro toto, et le lecteur, en y consentant, noue un "pacte m?tonymique" avec le texte. Ce pacte r?pond aussi ? la nature de la lecture du r?cit en g?n?ral. Du point de vue de la dicibilit? ( tellability ), un ?v?nement est plus vraisemblable quand il arrive ? un personnage du roman r?aliste qu'? un personnage d'un conte de f?e. Notre article traite aussi de la tendance m?tonymique de la composition textuelle du roman r?aliste, dans la lign?e des analyses de Roman Jakobson, Erich Auerbach et Roland Barthes.
DOI: 10.14989/189482
URI: http://hdl.handle.net/2433/189482
出現コレクション:第103号

アイテムの詳細レコードを表示する

Export to RefWorks


出力フォーマット 


このリポジトリに保管されているアイテムはすべて著作権により保護されています。