枝打ち機械の作業功程について (1) : 上昇速度の増加

Abstract

近年わが国でも, 数種類の自登式枝打ち機械が製作・販売されるようになり, われわれもS社製の枝打ち機械について功程調査を行った。その後, 上昇時聞を短縮するために, 駆動系の減速比を変えることにより駆動輪の回転数を従来より25％, 39％, 53％増加させた試作機を製作し, それらについて前回と同じく京都大学和歌山演習林のヒノキ, スギを対象としてタイムスタディにより作業時間等の変化を調べた。その結果, 約1. 6m/分であった実測上昇速度が最高2. 5m/分にまで増加し, ほぼ駆動輸の回転数の増加に見合った上昇速度の増加がみられた。また, トラブルの増加や枝打ちによる上昇速度の低下は特にみられなかったので, この範囲での速度増加は作業功程を向上させるためには有効だと考えられる。同時に, 遊動輪の数を増加させた仕様のものについても調べた結果, 従来ほど太い幹径での上昇速度の低下がみられず, 比較的太い木には有効であると思われた。また, 機械の取り付け, 取り外し, 移動に要する時間は, 林分の状況によって差があることがわかった。そして, 材質に大きな影響を及ぼすと考えられる幹削りが全体の24％に生じており, 今後の大きな課題である。

In recent years, some kinds of pruning machines (climbing saws) have been developed in Japan. We studied the relation between climbing speed of pruning machine and its operation at Kyoto University Forest in Wakayama from October 1984 to March 1985. At that time, to examine the effect of lower reduction gear ratio than normal, we made a time study of pruning on Hinoki (Chamaecyparis obtusa) and Sugi (Cryptomeria japonica). It is revealed from this study, that the increase of climbing speed from 1.6 m/min to 2.5 m/min by change of reduction gear ratio was effective and did not cause the increase of trouble. This pruning machine sometimes barked or caused stems to be damaged, and that was the severest trouble and desirable to improve.