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タイトル: 北海道カラマツ林業の経済構造 : 「限界地」育成林業の現状分析
その他のタイトル: On the Economic Structure of Larch-Forestry in Hokkaido : Analysis of the Current State of the "Marginal" Silviculture Area
著者: 北尾, 邦伸  KAKEN_name
著者名の別形: Kitao, Kuninobu
発行日: 20-Dec-1986
出版者: 京都大学農学部附属演習林
誌名: 京都大学農学部演習林報告
巻: 58
開始ページ: 154
終了ページ: 164
抄録: 1. 従来, 森林資源の人工的造成 (育林業) は山林所有者によって担われ, 地代としての立木価格の上昇に伴って進展してきた。林業基本法林政のもとで彼らは「林業経営」の担い手と想定され, また, 資源政策的観点から彼らに対しての手厚い造林補助金の助成も行われてきた。2. しかし, 年間の成長量=伐採量が社会的需要を満たしうる森林状態が成立すると, 森林資源の再生産メカニズムは, 新たな段階を迎えることとなる。造林投資の投資利回りを収益性の計算基準とする土地純収益説的な考えのもとでの森林経営は崩壊せざるをえない。森林造成の新たな担い手が要請され, また, このような森林資源を前提とし, 生産基盤とした上で, どのような林業経営像を描くかが, 林業政策論上の重要課題となる。日本林業の現段階は, かかる森林状態に近づき, かつ, 採取林業による外材の多大な輸入がこの事態を加速させている。3. 北海道カラマツ林業は, 人工林として最も立木価格水準が低い「限界地」育成林業としてある。一般的にいって日本の森林所有者は立木価格の低落に対して伐り控え行動によって対抗し, そのために森林・林野をめぐる利用の停滞が顕著である。しかし, 北海道での事態はこれら一般的傾向と対照的であり, 先進的である。すなわち近年, 伐採量が増大の一途を辿り, 伐出林業, 製材業, 請負造林事業等の経営体的成長が著しい。他方で, 山林所有者による森林資産の維持・運用からの離脱 (育林業ばなれを伴った森林処分) が進行している。4. 北海道カラマツ林業においては, 森林をめぐる利用の所有に対する優位的展開が認められる。しかし, それは森林資源の再生産の保証を欠いたネガティブな裏面を持つところの利用・経営の開花といえよう。森林資源の維持・造成の社会化を図りつつ, 他方では利用面における林業経営体の自律的展開を助成し, 地域的に資源の造成と利用とを秩序づけるところの「地域林業」林政が, とりわけ北海道において要請されているのである。本小論は実態調査・分析を踏まえて, 以上のような結論を導きだしたものであり, かつまた, このようなコンテキストに添って, 事態を努めて実証的に把握し, 叙述しようと試みたものである。
Heretofore in Japan, the afforestation has been borne by the owner of the forest land, and it has been developed with the advance of the land rent (= the price of standing timber). It was possible to invest in afforestation while the land rent covered the level of its long-term interest and the fund. But at the stage of the forest resources of which growth supplies the most of the social timber demand, the new system of the afforestation is requested. The Japanese forest is now getting near to this stage. The larch-forestry in Hokkaido is put up with the cheapest land rent in the Japanese silviculture area, and so the situation is advanced. The management of afforestation is collapsing and the felling is increasing in that district; on the other side the lumbering management and the contracting system of silviculture are therefore developing. On the mere face of it the situation is contrary in comparison with the general one; the owners are refrainining from selling the standing timbers and the lumber industries of thoes districts are hanging low. Tis thesis analyzed such an actual condition of the larch-forestry in Hokkaido, and pointed out the necessity of the forest resources policy and the possibility of the development of the forestry-lumber industry in such a "marginal" silviculture, where the utilization of the forest is holding priority to the private ownership of it.
URI: http://hdl.handle.net/2433/191854
出現コレクション:第58号

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