両面スクリーントラップを用いた"マツ枯れ"林の甲虫類調査

Abstract

上賀茂試験地と滋賀県田上山で"マツ枯れ"に関連する甲虫群集の調査, 解析を行った.調査は当初マツ材線虫病の媒介昆虫, マツノマダラカミキリの個体群調査のために企画され, その飛来方向を明らかにするため両面スクリーントラップを開発し, これを調査に用いた.このトラップで捕獲されたマツノマダラカミキリの数は, 上賀茂試験地が被害終息期にあり, 田上山が恒常型被害地であることを考えると, むしろ多かった.この調査を通じて, 飛来方向による甲虫群集の違いや, 捕獲される甲虫群集の組成に誘引剤がどのような影響を与えるかを知る上でこのトラップが有効な手法であることが明らかになった.また, この方法を経年的に利用することにより, 生息環境の変化を知る手がかりが得られる可能性が示唆された.

Beetle communities were comparatively studied in Kamigamo Experimental Station of Kyoto University and in Mt. Tanakami, Shiga prefecture. Double-faced Screen traps developed to examine the population of Japanese Pine Sawyer, Monochamus alternatus served for the survey of beetle community. Taking the situation of pine wilt in Kamigamo and Tanakami into consideration, population of M. alternatus was rather high. The traps adopted here were useful in estimating the direction where beetles come from, and in evaluation of the effects of attractant used for the trap on the beetles' diversity, which trapped.