<総説>森林土壌圏における分解呼吸の短期・長期変動

Abstract

森林土壌圏における分解呼吸は多様な有機物からのCO2放出の総和であるが、個々の有機物の分解呼吸特性に関するデータは限られている。環境変動にともなう分解呼吸の応答ひいては森林炭素収支を正確に評価するためには、有機物ごとに異なる供給・分解プロセスを個別に定量し、理解することが必要である。分解呼吸は、短期的には時々刻々と変動する環境要因の影響をうけて、長期的には攪乱などによる過去の森林構造の変化の影響をうけて変動する。本説では、主に落葉広葉樹二次林(森林総合研究所関西支所山城試験地)において観測された結果を通して、森林土壌圏における短期的・長期的な時間スケールで変動する分解呼吸について解説する。