ダウンロード数: 92
このアイテムのファイル:
ファイル | 記述 | サイズ | フォーマット | |
---|---|---|---|---|
2111-05.pdf | 9.79 MB | Adobe PDF | 見る/開く |
タイトル: | 日本のクレジット市場における信用サイクルの変動に関する分析 (ファイナンスの数理解析とその応用) |
著者: | 廣中, 純 |
著者名の別形: | Hironaka, Jun |
発行日: | Apr-2019 |
出版者: | 京都大学数理解析研究所 |
誌名: | 数理解析研究所講究録 |
巻: | 2111 |
開始ページ: | 65 |
終了ページ: | 83 |
抄録: | 本研究では, 日本のクレジット市場で観測可能なファクター[マクロ要因および過去の信用イベント発生実績(格付機関による発行体格付の変更件数, 企業の倒産件数)]のほか, 市場で直接観測することができないあるファクター(それをfrailtyと名付ける)の存在を仮定し, これらを考慮した信用イベント(格上げ格下げデフォルト)の発生しやすさ(発生強度)を表すモデルを提案する. 信用イベントのうち, 格上げ格下げの発生強度を表すモデルのパラメーターは, 95%の有意水準で統計的に有意であるとの結果を得た. またアウトオブサンプル期間(2013年1月1日-2018年3月31日)についてもほぼ同様の結果が得られた. また信用イベントが格下げである場合について, (1)全てのファクター, (2)マクロ要因のみ, (3)マクロ要因+過去の信用イベントの影響のみ, (4)マクロ要因+frailtyのみ, で構成される各モデルについて, パラメーターの推定値およびKolmogorov-SmirnovTestを実施した結果, 「マクロ要因」「過去の信用イベントの影響」および「frailty」の全ファクターを含むモデルはその適合度に高い有意性が見られた. 特に, 過去の信用イベントの影響およびfrailtyはともに, モデルのパラメーターの推定値に大きく影響を及ぼすと考えられる. 次に, 総与信GDP比率に代表される「信用サイクル」の変動要因を探るため, 「過去の信用イベント+frailty」と信用サイクルとの関連性について, 1)レジームスイッチモデルによる, 「過去の信用イベントの影響+frailty」と信用サイクルのレジーム推移の比較, 2)インパルス応答関数による, 信用サイクルの構成要素にショックを与えた場合における「過去の信用イベントの影響+frailty」に及ぼす影響, および3)信用サイクルを構成する要素(GDP. 総与信額)を状態空間モデルで表現した場合における各成分[水準(level)傾き(slope)]と「過去の信用イベントの影響+frailty」との問で, グレンジャーの意味での因果性の存在の有無, の3点から検証を行なった. まず1)については, 総与信GDP比率のレジームの推移と「過去の信用イベントの影響+frailty」のそれとは似通った傾向を示した. 次に2)については, GDPの水準成分, 総与信額の傾き成分および総与信GDP比率の水準成分傾き成分のショックは, 「過去の信用イベントの影響+frailty」に長期的に影響を及ぼす点が示された. 最後に3)については, GDPの水準成分, 総与信額の傾き成分および総与信GDPの水準成分傾き成分について, 「過去の信用イベントの影響+frailty」とグレンジャーの意味での因果性が見られた. |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/251977 |
出現コレクション: | 2111 ファイナンスの数理解析とその応用 |
このリポジトリに保管されているアイテムはすべて著作権により保護されています。