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タイトル: | <論文>山本明コレクション資料にみる『どっこい生きてる』(1951)上映促進運動の実態 |
その他のタイトル: | <Articles>Examining the grassroot promotion campaign for Dokkoi Ikiteru (Still I Live On) through Materials in the Yamamoto Akira Collection |
著者: | 鷲谷, 花 |
著者名の別形: | Washitani, Hana |
キーワード: | 映画サークル 幻灯 独立プロダクション 労働運動 失業対策事業 Film circle Lantern slide Independent film production Labor movement The Unemployment Relief Public Works Program |
発行日: | 31-Mar-2021 |
出版者: | 京都大學人文科學研究所 |
誌名: | 人文學報 |
巻: | 116 |
開始ページ: | 37 |
終了ページ: | 51 |
抄録: | GHQ/SCAPによる日本占領の末期の経済政策及び労働政策の方針転換は, 職場からの日本共産党員及び同調者の追放を促した。一方, 日本共産党は占領当局及び日本政府に対する強硬な対決姿勢へと転じ, 党の指導下にある文化人及び全国の文化サークルに「文化闘争」を呼びかけた。「文化闘争」の一環として, 1950年末から1951年春にかけて製作された映画『どっこい生きてる』(今井正監督)は, 一般に流通する商業的日本映画の製作・流通システムに依拠しない自主的な製作・公開を志向し, 委員会方式の製作体制や, 映画会社や劇団の別を越えた多彩な俳優の出演, 通常の興行ルートを介さない上映手段の確保などの手法によって, 以降の独立プロダクション映画運動に大きな影響を及ぼした。『どっこい生きてる』の製作には, 映画の主題である「ニコヨン」と通称された失業対策事業で働く労働者が組織的に協力し, また, 全国の映画サークルが募金による資金調達や上映促進運動などの役割を担った。従来, 『どっこい生きてる』の製作〜上映プロセスに, 映画サークルが具体的にどのように関与したのかについては不明点が多かったが。山本明コレクションに含まれる各地の映画サークルの内部資料には, 『どっこい生きてる』に関連する資料も含まれており, 募金活動, 地元映画館との上映交渉, 観客動員増のための宣伝運動といった, 映画サークルの具体的な活動の実態が明らかになった。また, 全国映画サークル協議会が幻灯版『どっこい生きてる』を製作・頒布し, 各地の映画サークルや労働組合が幻灯上映による宣伝活動を展開していたことも確認された。独立プロダクション映画運動において幻灯の担った役割については, 従来の映画史文献ではほとんど言及されてこなかったため, 日本映画史・映像文化史のミッシング・リンクを解明する手がかりが, 山本明コレクション資料の調査を通じて得られたということができる。 The change of direction of economic and labor policies by GHQ/SCAP in the last years of the Japanese occupation prompted the expulsion of Japanese Communist Party members and sympathizers from their workplaces. On the other hand, the JCP took a hard-line confrontation stance against the occupation authorities and the Japanese government and called for "cultural struggles" among cultural workers and cultural circles ("bunka-saakuru") under the leadership of the Party. As part of this "cultural struggle, " a film Dokokoi Ikiteru (Still I Live On) was produced between the end of 1950 and the spring of 1951. This film was made with the goal of establishing an independent production and distribution system outside the existing commercial film industry. Dokkoi Ikiteru depicts lives of people commonly known as "nikoyon, " who were working in the Unemployment Relief Public Works Program (URPW) which started to provide the unemployment with daily outdoor jobs since 1949. URPW workers union cooperated systematically in the production of Dokkoi Ikiteru. Film circles (eiga-saakuru) across the country also cooperated in fund-raising and promotion campaigns for Dokkoi Ikiteru. Previously, there have been scarce documentations about the involvement of film circles However, the Yamamoto Akira Collection includes materials related to the activities of film circles in the production and distribution of Dokkoi Ikiteru, such as fundraising, negotiations with local movie theaters, and publicity campaigns. It was also confirmed that a "gentô" (lantern-slide) version of Dokokoi Ikiteru was made and used for publicity activities by film circles and labor unions around the country. The Yamamoto Akira Collection provides several important clues to the missing link in the history of Japanese film culture such as a role of gentô in the independent film production movement. |
記述: | 特集 : 山本明コレクション 福家崇洋, 上田学 編 Special Issue: the Yamamoto Akira Collection |
DOI: | 10.14989/262799 |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/262799 |
出現コレクション: | 第116号 <特集 : 山本明コレクション> |
参考文献: | 日本共産党中央委員会. "民族の独立のために全人民諸君に訴う". 日本共産党綱領集. 日本共産党中央委員会出版部, 1962, p. 88-97. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2989239 日本共産党中央委員会. "綱領 ― 日本共産党の当面の要求". 日本共産党綱領集. 日本共産党中央委員会出版部, 1962, p. 98-110. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2989239 日本共産党臨時中央指導部. "文化闘争における当面の任務 ― 全国文化工作者会議の報告と 結語 ―". 前衛. no. 57, 1951, p. 34-41. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3557124 道場親信. "下丸子文化集団とその時代:五〇年代東京南部サークル運動研究序説". 現代思想 総特集 戦後民衆精神史. vol. 35, no. 17, 2007, p. 38-101. https://id.ndl.go.jp/bib/9309144 労働省職業安定局・失業対策課編. 失業対策年鑑 ― 昭和二十六年度版 ―. 労働法令協会, 1952. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN06306905 労働省職業安定局高齢・障害者対策部(編著). 失業対策事業の歩み. 日刊労働通信社, 1997. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA37878683 江口, 英一(著). "自由労働組合=全日自労の生成をめぐって". 労働組合運動の現代的課題. 未来社, 1983, p. n/a. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN0065491X n/a. 失業対策年鑑 ―昭和二十六年度版―. 日本図書センター, 2003. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA6524147X シネ・フロント. 日本映画人同盟・映画サークル協議会・労働組合映画協議会共同機関紙. n/a, no. 1, 1949. https://id.ndl.go.jp/bib/000007142442 n/a. "われらの映画製作ニュース". n/a. no. 2, 1950, p. n/a. われらの映画製作ニュース シネ・フロント. 映画鑑賞団体全国連絡会議, no. 29, 1950. シネ・フロント n/a. "前進座". n/a. no. 再刊第2号, 1950, p. n/a. https://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10223279 シネ・フロント. 映画鑑賞団体全国連絡会議, no. 30, 1951. シネ・フロント n/a. "どっこい生きてる製作ニュース". n/a. no. 3, 1951, p. n/a. どっこい生きてる製作ニュース n/a. "全大阪映サ協ニュース". n/a. no. 5, 1950, p. n/a. 全大阪映サ協ニュース n/a. "大阪映画の友". n/a. no. 1951年 1月15日, 1951, p. n/a. 大阪映画の友 伊藤, 武郎(述) ; 山内, 久(述). "独立プロデューサー". 戦後映画の展開. 岩波書店, 1987, p. n/a. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN0083465X 前進座の歩み. 劇団前進座公式サイト. http://www.zenshinza.com/infomration/rekishi/history.html n/a. "大阪映画の友". n/a. no. 10, 1951, p. n/a. 大阪映画の友 どっこい上映促進運動の経過. 1951. 仙台映画サークル協議会. 山本コレクション. どっこい上映促進運動の経過 n/a. 刑事裁判資料第一四八号 労働関係刑事事件判例集 (第七輯). 最高裁判所事務総局, 1960. https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I057111295-00 さかざき, つねろう(著). "日本の幻燈活動の展望". ソヴェト映画. vol. 3, no. 12, 1952, p. 36-38. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1859074 |
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