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タイトル: Aspiring to Transcend --京都大学における人文社会科学を中心とした融合研究の先例調査報告書
その他のタイトル: Aspiring to Transcend: Legacy and Future of Interdisciplinarity in the Humanities and Social Sciences at Kyoto University
著者: 京都大学学術研究展開センター人文・社会系部門  KAKEN_name
著者名の別形: Kyoto University Research Administration Center Humanities and Social Sciences Division
発行日: 25-Mar-2024
出版者: 京都大学学術研究展開センター人文・社会系部門
開始ページ: 1
終了ページ: 95
抄録: 京都大学学術研究展開センター人文・社会系部門(KURA人社部門)は、本学における人文社会科学分野の研究力強化を担当する部門として、2022年10月の学術研究支援室改組再編に伴い設置された。KURA人社部門は、近年高まりつつある、人文社会科学を含む融合研究への社会的要請に対し、本学が「自由の学風」のもとで培ってきた研究力を可視化し、かつそれを一層高めうる方途を検討するため、2023年度の新規事業として「京都大学における人文社会科学を中心とした融合研究の先例調査」を行った。本調査では、まず京都大学における人文社会科学を中心とした融合研究の事例を部局刊行物等とインタビューによって収集し、それらを研究者が内発的な関心から融合研究を創出した過程に注目して分析した。この分析を踏まえ、本学の人文社会科学における融合研究の本質を読み取り、その本質に即した研究力強化方針を提示することを試みた。なお『京都大学百年史』等の沿革史に記された事例の分析により、本調査の対象は、文学部における哲学の京都学派、人文科学研究所、東南アジア地域研究研究所、総合人間学部と人間・環境学研究科を中心とし、さらに近年設立された学際融合教育研究推進センター、総合生存学館、法学研究科附属法政策共同研究センターを加えたものに絞った。これらの調査対象で行われた融合研究事例が示すのは、京都大学における人文社会科学を中心とした融合研究が学術分野間の対話としての性格を色濃く持ち、対話を通じた世界観の交換により、新たな言説空間が構築されることをその研究の方法とし、かつ成果としていたということである。本学においては、「京都という濃密な空間」を基盤としたうえで施設や制度に工夫を加えることにより、研究者間の交流を密にし、さらには探索的チームを研究者が内発的な関心に応じて柔軟に形成する土壌が整えられてきた。この土壌に、理論的考察に発する、特定分野に限定されない普遍的な問いが植え付けられることで、学術分野を横断した問いの連鎖が生み出されてきた。その結果として新たな言説空間が構築されたことにより、学界のパラダイムに影響したのみならず、メディアとも協働することで一般社会の思潮にもインパクトを与えてきた。そして、京都大学においてこのような学問分野を越えた、さらには社会を巻き込んだ対話が常に志向されてきた背景には、本学の自由の学風が、既存の通念や評価軸を超えようとする意志として研究者に共有されていたさまを読み取ることができる。したがって、本学における人文社会科学を中心とした融合研究を一層推進するために、以下のことが求められよう。まず、融合研究の推進施策は既存の研究からの超出が研究者の内発的関心からもたらされることを前提とすべきであり、かつその超出をさまざまなレベルで可視化し、評価することが求められるべきである。同時に、学内へのさまざまな発信により自由の学風を涵養することを試みつつ、研究者の需要に沿った対話の場を準備するのみならず、そこで始まった探索的な議論が継続されるよう支援することが必要である。一方で、特定の学問分野を越えた普遍的問いを発掘することが求められるが、そのためには学生を含む非職業的研究者の視点が有益である可能性がある。また人文社会科学を中心とした融合研究の成果であり、社会への通路である言説空間を拡張するため、多様なメディアの活用のみならず、社会と接続する新たなプラットフォームを構築することも検討されるべきである。
目次: 序 [3]
報告書に寄せて [4]
要旨 [5]
本論
1 この調査の趣旨について [9]
2 総論 京都大学における人文社会科学を中心とした融合研究のありかた [18]
a 理念:自由の学風という理念の共有と、その再解釈 [18]
b 相互理解:密接なコミュニケーションと、それによる他分野の学術言語への理解 [20]
c チーム形成:競争的研究費申請の前段階における、探索的研究チームの形成 [22]
d 発案:理論的・俯瞰的把握による、大型プロジェクト立案のアイディア創出 [23]
e 協働の形態:放射型共同研究の実践 [24]
f 発信:とくに20世紀において、出版メディアとの協働という社会連携による、知的な好循環の形成 [25]
3 各論 京都大学における個々の取り組み [27]
(1) 文学部における哲学の京都学派(稲石奈津子) [27]
(2) 人文科学研究所における共同研究(一色大悟) [30]
(3) 東南研における地域研究(横江智哉) [34]
(4) 人間・環境学研究科と総合人間学部の設立から学術越境センターの設置まで(福田将矢) [36]
(5) 総合生存学館の総合学術(藤川二葉) [39]
(6) 学際融合教育研究推進センターの学際的研究・活動の推進(水野良美) [41]
(7) 法学研究科における法政策共同研究センター(藤川二葉) [42]
小結 [45]
4 提言 Aspiring to Transcend [47]
資料編
1 藤田正勝名誉教授(文学研究科)インタビュー(第14回)抄録 [48]
2 大浦康介名誉教授、冨谷至名誉教授、高木博志教授(人文科学研究所)インタビュー(第11回、人文研座談会)抄録 [55]
3 2000-21年度人文科学研究所における共同研究一覧 [66]
4 河野泰之教授、マリオ・アイバン・ロペズ准教授(東南アジア地域研究研究所)インタビュー(第7回)抄録 [73]
5 高橋由典名誉教授、齋木潤教授(人間・環境学研究科および総合人間学部)インタビュー(第8, 2回)抄録 [75]
6 人間・環境学研究科における融合研究の試み [79]
7 川井秀一特任教授(生存圏研究所)インタビュー(第12回)抄録 [82]
8 土井真一教授(法学研究科、法政策共同研究センター長)インタビュー(第9回)抄録 [85]
参考文献 [89]
URI: http://hdl.handle.net/2433/287495
出現コレクション:報告書等

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