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タイトル: 超弦理論と場の理論のダイナミクス
著者: 二宮, 正夫  KAKEN_name
著者名の別形: Ninomiya, Masao
キーワード: 超弦理論
弦の場の理論
場の量子論
真空構造
非摂動的研究
統計熱力学
格子ゲージ理論
数値物理学
発行日: 2007
出版者: 京都大学
抄録: "4 研究領域内の研究の年度毎の進展状況及びこれまでの主な研究成果  本領域の4大項目は有機的に密接に関連しつつ、領域領域の当初の設定目標をはるかに越える重要な成果をえていると確信する。以下に研究の年度毎の進展状況、及び主な研究成果を列挙する。  [平成13 年度]  素粒子論的宇宙論では、トンネル効果が宇宙の環境中でどのように起こるのかを、実時間形式を用いて基礎から研究し、バリアークロス現象が環境からのエネルギー流入によって促進される機構を初めて明らかにした。また、余剰次元ゲージ理論を解析し、カイラル対称性の力学的破れやトップ対凝縮の可能性を探った。さらに、Curvaton がインフレーション模型に与える影響や、電弱相互作用をする暗黒物質の対消滅過程に対する非摂動論的効果を解析した。これらは極めて重要な研究の発展をもたらした。  [平成14 年度]  場の理論の基礎的発展として、非コンパクトなリッチ平坦な空間に値を取る非線形シグマ模型を構成し、非摂動的くりこみ群方程式を用いて、アインシュタイン・ケーラー多様体が固定点になることを示した。  [平成15 年度]  格子ゲージ理論では、世界に先駆けて3つの動的クォークの効果を取り入れた格子QCD の研究を展させ、新しいカイラル摂動論を3 フレーバーへの拡張し、また、ドメインウォール・クォークを用いた3つの動的クォークの効果を含んだ格子QCD の研究を開始した。これも世界のトップリーダとしての仕事である。  [平成16 年度]  素粒子論的量子宇宙論と統計熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則) を統一的に記述する理論を提唱した。具体的には、半現象論的な現在のエントロピーの定式化をもとに、更にその背後に存在すると予想される基本法則の一般論を展開した。実際にこの理論を用いることによって場の量子論的宇宙論の長年の難問:宇宙定数は観測上、何故極めて小さいのか、またインフレーション理論における様々な難問、に回答を与え得ることを示した。  [平成17 年度]  行列模型を解析する手法として、平均場近似を系統的に改良してゆく方法を開発し、理論の基底状態として4 次元の時空が現れる可能性が大きいことを初めて示した。行列模型と非可換空間上のゲージ理論の関係を一般的に解析し、ゲージ理論、超弦理論、行列模型の間の統一的な関係を新たに見出した。さらに、行列模型の新しい解釈を提案し、一般相対論的不変性が行列模型の中で実現できることを世界にさきがけ示した。場の量子論において長年なぞであったボソン場の負エネルギーの海の構成方法を発見した。この方法によって場の量子論における奇異な事実:カイラルフェルミオン場の異常項、共形場の異常項などが極めて物理的に理解できるようになり、新しい発展が期待される。また弦理論の新しい量子化、弦の場の理論の構成に展望を与えると考える。ゲージ場とHiggs 場を高次元ゲージ理論のなかで統一し、量子効果により対称性を破る細谷機構を電弱相互作用に適用し、ゲージ・ヒッグス統合理論でワインバーグ角とクォークレプトンの質量行列をただしく再現できることを示し、LHC 実験での検証を提唱した。以上の場の理論の成果は、今後の進展にとって非常に重要なものである。  場の理論の数学的側面の研究では、通常のADHM 構成を超空間に拡張し、それを更に変形することで非可換超空間上の超場形式を用いた変形されたADHM 構成ができることを示した。場の理論の物性論への応用としては、量子ホール系で実現している非可換空間での運動方程式を解析し、非可換ソリトンのダイナミクスを解明した。これらは本領域でこそ達成された極めてユニークで貴重な成果である。格子QCD による中性子の電気双極子能率の研究や、重いクォークの物理の研究の端緒を開いた。これらの成果はいうまでもなく、世界で初めて得られた結果である。  [平成18 年度]  超弦理論の非摂動的定式化の方法としてソリトン的な解のD粒子を用いて場の理論を構成する道筋を付けた事は注目に値する。更に、いくつかのDブレーンが組み替わる機構を明らかにした。また、超弦理論の構成的定式化として行列理論が本領域のメンバー達によって構築されたが、この行列がどの様に曲がった時空を記述することが出来るのかを詳細に分析した。この方向の理論を完成させれば、宇宙初期の時空構造等を明らかにすることが出来ると考えられる。一方、超弦理論の非摂動的研究によって得られた新しい知見の一つである非可換幾何学の空間の研究を量子ホール効果の研究に応用する野心的な試みが行なわれ、新たに量子位相に対する有効理論を構成し、2層量子ホール系において縦抵抗がゼロとなる特異な現象を理論的に見出し、これが実験結果を説明することを示した。また、非断熱的および混合状態の幾何学的な位相はすべてシュレーディンガー方程式に内在する「隠れたゲージ対称性」に付随したホロノミーとして理解できることを示した。素粒子の標準理論の構成要素の一つであるQCD に対しては、大規模数値シミュレーションによる研究によって大きな前進と成果が得られた。特に、次に列挙する8項目に渡り顕著な国際的リーダーシップを取っている。1) より軽い3つの動的クォークの効果を取り入れた格子QCD の研究の準備と開始。2) 新しいカイラル摂動論のベクター中間子への拡張。3) Twisted-mass QCDに対するO(a) 改良の証明。4) ドメインウォール・クォークを用いた3つの動的クォークの効果を含んだ格子QCD の研究。5) 重いクォークの物理の研究。6) 格子QCD による中性子電気双極子能率の研究。7) 厳密なカイラル対称性を持つクォーク作用による力学的効果を取り入れた格子QCD の研究の開始。8) 格子QCD による核力の研究。格子場の理論における難問の一つであるカイラル対称性を有するSU(2) U(1) 電弱統一理論を格子理論として定式化することに関し、ゲージ不変なフェルミオン経路積分の測度を構成することに成功した。これら標準理論において理論的に存在可能性のある磁気単極子(モノポール)について、電気二重極能率を超対称性のあるモデルで詳細に調べ、その生成機構を明らかにした。また、ニュートリノは標準理論及びその延長上の理論において強い関心を引く素粒子であるが、この粒子の対生成を促進する準安定原子レーザーを照射する方法が、実はニュートリノのマヨラナ性を検証し、ニュートリノ質量行列を決定する有力な方法であることを示した。  以上の様に、各年度に渡り、4つの項目が有機的に連係し、先進的な成果を挙げることが出来た。"
記述: 文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究「超弦理論と場の理論のダイナミクス」(平成13年度~平成18年度、研究課題番号 13135101、領域代表者・二宮正夫)
URI: http://hdl.handle.net/2433/49155
関連リンク: http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~ninomiya/tokutei/
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