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タイトル: <原著>気管支遮断術の基礎的研究 : とくに血管遮断を併せ行なう場合を中心として
その他のタイトル: EXPERIMENTAL STUDIES ON OPERATIVE INTERRUPTION OF THE BRONCHUS; ESPECIALLY ON CASES COMBINED WITH LIGATION OF THE PULMONARY VESSELS.
著者: 山本, 博昭  KAKEN_name
著者名の別形: YAMAMOTO, Hiroaki
発行日: 30-Mar-1968
出版者: 京都大学結核胸部疾患研究所
誌名: 京都大学結核胸部疾患研究所紀要
巻: 1
号: 1/2
開始ページ: 171
終了ページ: 199
抄録: 最近化学療法および外科的療法の発達により, 肺結核の治癒率は著るしく向上したが, 重症肺結核は依然として難治の疾患であり, これに対する治療法には, なお種々の問題が残されている。気管支遮断術は, 重症肺結核に対する外科的療法の一つとして, かなり以前から試みられたものであるが, 化学療法の進歩に伴ない, 本術式が呼吸機能に対する侵襲が比較的少ないことと相俟って, 最近再び注目されるようになっている。しかしながら, 本術式についての基礎的研究はあまりなされておらず, とくに血管系の変化と本術式との関連性等についてはなお検討されるべき多くの問題が残されている。そこで, 著者は気管支の遮断術およびこれと血管の遮断とをあわせ行なった場合における肺の諸変化について, 主として形態学的観点から検討した。第1篇では, 健常な成犬において肺葉気管支を単純に遮断した場合における諸変化について, 第2篇では, 気管支の遮断にあわせて肺血管系をも遮断した場合に招来される諸変化について, さらに第3篇では, あらかじめ大循環系からの副側路を作成しておいた動物において, 気管支および肺動脉を遮断した場合に招来される諸変化について検討し, 以下の結論をえた。1.健常な犬の肺で1肺葉の気管支を遮断すると, 遮断された肺葉には無気肺が招来される。無気肺部は術後1か月以内では病理組織学的に種々な様相を呈するが, それ以上を経過すると, 多くの場合, 炎症性細胞や気管支内腔の貯溜物は吸収され, 単純な無気肺像を呈することが多い。処置肺葉の肺動脈枝は狭小化し, 術後3か月目頃には, 肥厚した内膜の器質化がみられ, ために無効肺血流量は減少し, 静脈血混合の増加はほとんどみられない。2.健常な犬の肺で, 1肺葉の気管支を遮断する場合には, その気管支に沿って同肺野に分布する気管支動脈はほぼ完全に遮断されるが, 栄養血管である気管支動脈が遮断されても同肺野には壊死は招来されない。このことは肺動脈枝もまた, 栄養血管としての機能をはたしうることを示すものである。3.肺葉気管支の遮断に加えて同じ肺葉に分布する肺動脈枝をともに結紮切断すると, 肺組織は完全に血流を断たれて崩壊し壊死に陥る。しかも, 肺動脈は終末動脈であるから, 1区域肺動脈を結紮した場合には隣接区域の肺動脈枝からの血流は全くなく, 遮断区域は壊死に陥る。4.気管支遮断にあわせて肺動脈を遮断する場合に招来される肺組織の壊死は, 主として血行障害によるものであり, 気道内貯溜物の増加や細菌感染などによるものではない。5.気管支の遮断とともに肺静脈枝の結紮を併せ行なう場合には, 肺に鬱血が招来され, さらに時日の経過とともに出血性梗塞の変化を呈するようになるが, 処置肺葉が壊死に陥ることはない。ただし, 鬱血が高度な場合には, 隣接肺葉に圧迫性無気肺を招来せしめ, 呼吸循環面に悪影響を及ぼすようである。6.開胸下にタルク末を肺葉表面に撒布して, 肋膜癒着を招来せしめた動物では, 肋間動脈, 気管支動脈あるいはそれらの姉妹血管が癒着部を介して肺内に進入する。そのような実験動物では, たとえ肺動脈や気管支とともにこれに伴なう気管支動脈を併せ遮断しても, その肺葉は壊死に陥らない。7.以上の事実から, 臨床的に気管支遮断術を施行するにあたっては, 肺血管系の損傷を極力さけるとともに, 肋膜癒着の剥離は可及的小範囲にとどめるべきだと考えられる。
Operative interruption of the bronchus seems to be worthy of review as therapy for advanced pulmonary tuberculosis. A number of papers on atelectasis by obstruction of the bronchus have been published, but little has been known of cases receiving both interruption of the bronchus and ligation of the pulmonary vessels. The author studied the morphologic changes of the lung tissue of dogs treated by bronchial interruption and vascular ligation, and should like to conclude as follows : 1) When the bronchus is interrupted, the regional pulmonary lobe becomes atelectatic. Variable histologic patterns, such as simple, inflammatory, edematous and mixed types of atelectasis, can be observed within a month after interruption. In dogs three months after operation, narrowing of branches of the pulmonary artery and thickning of the intima are observed. 2) No necrosis results in the lobe whose bronchus and bronchial artery are interrupted. 3) The lobe becomes necrotic only when the bronchus, the bronchial artery and the pulmonary artery are interrupted. 4) When the bronchus and the branch of the pulmonary vein are interrupted simultaneously, congestion of the lobe is observed. 5) In the lobe with pleural adhesions, bronchial and vascular interuption at the hilum results in no necrosis of the regional lung tissue. 6) From these findings, on the clinical use of operative interruption of the bronchus, it is desirable to maintain the blood supply from bronchial and pulmonary vessels as much as possible.
記述: この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/52392
出現コレクション:1巻1・2号

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