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タイトル: 人的資源開発の理論的系譜と概念の整理 : 個人開発と組織開発をつなぐキャリア開発
著者: 草野, 千秋  KAKEN_name
久本, 憲夫  KAKEN_name
著者名の別形: Kusano, Chiaki
Hisamoto, Norio
発行日: May-2007
出版者: 京都大学大学院経済学研究科
引用: 草野千秋, 久本憲夫. 人的資源開発の理論的系譜と概念の整理 : 個人開発と組織開発をつなぐキャリア開発. 京都大学大学院経済学研究科Working Paper. J-64. 2007.05.
誌名: 京都大学大学院経済学研究科Working Paper
号: J-64
抄録: 人的資源開発が急速に注目されたのは、景気後退期の米国であった。当時、米国企業は、経済成長が著しかった日本企業から、企業と従業員の協調的関係、および人材が重要であることを学んだ。そこでは、従業員はOJTやoff-JTによって職務遂行能力の体系化が図られ、終身雇用による精神的安定のもと、長期にわたって能力開発を行うシステムが整っていた。その日本的な人材教育を模範に、米国内で従業員の訓練開発を重視する企業と人的資源の研究が発展していった。今では、現在の米国経済に、その有用性を指摘する大企業の実務家も多い。実際に企業では、従業員のスキルや知識を拡大するための手段として教育、訓練などの訓練投資が過去10年間に年5%ペースで増大し、2001年にはおよそ総額年間600億ドルになっている(Garvin, 2001)。教育訓練への投資が増加するとともに、経済も成長していることから、人的資源開発は人的資源管理と同様に実践や研究においても重視されるものとなっていると考えられる。一方、日本企業はバブル崩壊による業績悪化から人材に関連する資源を最小にとどめるようになっている。それはバブル崩壊後の景気低迷と従業員の教育訓練費が比例している1ことが示している。だが、人材育成投資額を増加した企業の売上高がそうでない企業よりも高い2。この2点から、企業の業績と人材育成が密接な関係にあることがわかる。日本企業では、訓練開発が人的資源管理に組み込まれて発展してきており、十分に機能している。しかし、人材育成投資額を増加すれば、これまでの訓練開発システムでよいのかという問題もある。これまで機能していた既存のシステムが、将来も十分な機能を果たすかどうか、という疑問もある。新技術の発展に伴って、新しい技能教育や教育体系の見直しも必要になるのではないかと思われる。包括的な研究が進んでいる人的資源開発についても、検証や分析、今後の訓練開発において参考にできるところがあるのではないだろうか。そもそも、組織にとって重要な資源である人的資源は、人的資源管理(以下、HRM)と人的資源開発(以下、HRD)という2つの要素からなると考えられている(Swanson, HoltonⅢ, 2001)。人的資源という枠組みにおいて、HRMとHRDは相互関連的な概念なのである(Manakin, 2001)が、両者の違いを端的にいえば、前者は従業員の採用、管理、動機づけのための管理方法や 制度(McKenna & Beech, 1995)をさし、後者は、知識と調査という特徴をもつ実体のある研究と実践の専門的分野(Sleezer and Sleezer, 1997)すなわち、人材を育成するための方法論とテクニックを実践するものとされている。HRMは、労務管理や人事管理などの基礎的な理論体系が比較的明確にされているが、HRDは、たえず変化する組織行動に合わせて弾力的な調査研究がおこなわれているため、基礎となる理論は学際性が高くなり概念が曖昧になったり、応用技法が議論の中心になったりする傾向がある。HRDの概念が曖昧になりやすいのは、キャリア開発、組織開発、人材開発など、類似した概念も複数関連してくることも原因であるように思われる。そこで本稿では、HRDの概念と類似概念との関係性を明らかにするため、既存研究を整理したうえで実際の施策から分析軸を検討してみた。それによると、HRDは個人開発と組織開発の大きく2つの概念によって構成されていることがわかった。個人開発とは、一般に訓練開発(Training and Development:T&D)とよばれており、組織開発はODとして知られているものである。また、キャリア開発が、個人開発を組織開発の有効性に導く概念であることもわかった。以下、個人開発と組織開発を中心的な分析軸としながら、HRDの理論的系譜を整理し概念を提示したい。まず2章では、HRDの定義や議論の基礎となっている理論を概観する。3章では、個人開発としてのT&Dについて、4章では組織開発について整理し、5章で最終的なHRD概念の枠組みを提示する。
URI: http://hdl.handle.net/2433/65636
出現コレクション:Working Paper (日本語論文)

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