松代群発地震地域における橋りょうおよび地盤の震動観測結果について

Abstract

昭和40年8月上旬に始まった松代群発地震は16ケ月後の現在もなお活動を続けている。こうした小ないし中程度の規模の地震が続発することはきわめて稀な現象であり, 自然地震を集中的に観測するには絶好の機会であるといえる。構造物の地震に対する応答を問題とするときには構造物の基礎となる地盤の地震動が究明されねばならないが, これまでは地表面における地震動が研究の対象とされることが多かった。しかしながら構造物は地表面から適当な深さの基礎を有するので, 深さ方向の地震動の変化の状況は耐震設計の面にも重要な意味を持つことになる。また地震時における地盤と構造物の震動がどのような関連にあるかを実在の構造物について自然地震によって観測することは, 地盤と構造物の速成振動を解明するにはきわめて重要であり, こうしたことは地震が続発している場合以外には実施が困難である。本研究はこうした観点から, 群発地震の発生域となっている長野市松代町周辺を中心に数個所において地盤および橋りょうの震動観測を実施したものであり, その結果に基づいて松代群発地震の耐震工学からみた特質を明らかにするとともに耐震工学上の資料たらしめようとしたものである。

Since June 1966, the observations of earthquakes have been carried out at the six stationsin the region of the Matsushiro earthquakes. The seismic waves beneath the ground wereobserved at three stations by seismoneters which were set in the bore holes. The responsesto earthquakes of bridges and embankment were observed at three bridge sites and theacceleration of ground surface at two stations were recorded by strong notion accelerogr-aphs.In this paper the spectral analysis of recorded data by data recorder system is performedand the characteristics of the Matsushiro earthquakes are investigated from the view pointof the earthquake engineering.