豪雨の研究(III) ―近畿中部の集中豪雨について―

Abstract

第1, 2報では豪雨の統計的な問題が取り扱われた。本報では集中豪雨のメカニズムを解明するための第1段階として1969年6月25日近畿中部の集中豪雨について詳しい解析を行なった。近畿地方の集中豪雨についてはこれまで中島, 後町らによって研究されている。それによると, 紀伊水道から琵琶湖に至る地域は湿舌が入りやすく, 南西から北東にのびる細長い地域に集中豪雨が起ることが指摘されている。本報では前半において前線面とそれに付ずいした下層ジェットを, 後半において集中豪雨域の移動, 変形と温暖前線の移動および地上風の収束場との関係について調べ, 下層ジェットの集中豪雨にはたす役割について若干の議論を試みた。

For a case study of the mechanism of heavy rainfall, we analysed the heavy rainfall on 25 th June, 1969. In the cross-section and the time-section of this disturbance, we found a distinct low level jetstream combined with the frontal system. The main rainfall occurred over the area where the surfacewarm front and the low level jet stream were crossed each other. This area corresponded also the centerof the surface convergence. We discussed moreover about the smaller scale disturbances superposingover the main disturbance.