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タイトル: 自然の統一的認識におけるエントロピー的(熱学的)視点の重要性ならびに日本における熱学教育の状況について(修士論文)
著者: 伊達崎, 広  KAKEN_name
著者名の別形: Datezaki, Hiroshi
発行日: 20-Oct-1987
出版者: 物性研究刊行会
誌名: 物性研究
巻: 49
号: 1
開始ページ: 157
終了ページ: 213
抄録: 現在,自然を理解するためにエネルギー・エネルギー保存則に基づいた枠組みがよく用いられる。確かにエネルギー概念は自然を見る上で本質的であり,その重要性は大きい。しかしエネルギー保存則だけでは自然現象の進む方向を定めることはできず,それ故エネルギー保存則のみに基づいた見地は自然理解の枠組みとしては不完全なものである。これを補完して自然を正しく理解するためには,熱力学第2法則に基づいた見地も同時に合わせ持たれなければならない。それでは正しい自然理解の枠組みを社会構成員一人一人が認識し,持つためにはどうすればよいか。これには様々な方法が考えられるが根本的においては教育の力に依らざるをえないといえる。そこで様々な概念を形成し,自然観・世界観を培う時期である育少年期に当る中等教育において,上述の自然理解の枠組みが教科の中でどのように扱われており,さらに生徒がそれをどう受け取っているかが問題となる。このことについて著者らが入手したEntropy in the schoolからヨーロッパの現状を概括すると以下の様になる。1)正規教育はエネルギー概念中心に構成されており,熱力学第2法則的見地はほとんど含まれていない2)生徒のエネルギー概念の把握について若干の研究があり,それによるとエネルギー概念の教育は必ずしも成功していない。3)まだ少数ではあるが第2法則を教育に取り込もうという努力・実践がなされている。日本の中等教育もエネルギー概念を中心として構成されており,第2法則の取扱いは不完全・不十分であったり,天下り的であることが多い。また生徒の概念把握についての調査・研究はほとんどなされていない。この様な現状を鑑みて著者らは生徒の実状を把握するためアンケートを行うこととした。これはエネルギー・熱について,連想・短文作り・説明の三つの作業を通して生徒の持っている印象・概念を調査するものである。この結果,エネルギーは生徒の頭の中では力と強く結び付いていること,こういった概念が日常や教育の他の部分の影響を受けやすいこと等が分った。熱力学第2法則を中等教育に取り入れるべきであるという主張は,日本ではまだごく少数である。それは第2法則の持つ概念的難しさに因るところが大きいだろう。しかし第2法則はエネルギー概念と共に自然の正しい認識のためには不可欠である。中等教育は科学的自然観を育むというその目的からいって第2法則を扱うべきである。そして現状としては,その準備のためもっと多くの努力が払われるべきである。
記述: この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/92821
出現コレクション:Vol.49 No.1

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