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タイトル: イジングモデルの自己相似性および臨海緩和について(修士論文(1987年度))
著者: 伊藤, 伸泰  KAKEN_name
著者名の別形: Ito, Nobuyasu
発行日: 20-Jul-1988
出版者: 物性研究刊行会
誌名: 物性研究
巻: 50
号: 4
開始ページ: 723
終了ページ: 768
抄録: 第1章要旨 二次転移点で系の自由エネルギーは、スケール変換のもとで自己相似に振舞う。自由エネルギーは、統計平均をとって得られる量である.自由エネルギーなどの統計平均した量の自己相似性は、次の意味での系の各配位の自己相似性に出来する事が分った。それは、臨界点での出現頻度の大きい配位は、磁化で見て一定のフラクタル次元Dを持っている、という事である。臨界点での典型的な配位に対してスケール変換を施した際の磁化の変化が、スケールに対してべき関数で振舞うのである。スケール変換はブロックスピン変換である。つまり、全系を一辺bの(超)立方体に切り分け、各(超)立方体中の磁化が正ならば+1のスピンに、負ならば-1のスピンに置き換える。また、0ならば、確率1/2で+1または-1とする操作である。系が2、3、4次元の場合には、dを系の次元、β、γ、vを自発磁化、帯磁率、相関長の臨界指数として、D=d-β/v=(d+γ/v)/2が成立する。 これはハイパースケーリング則v d=2β+γを含意する。一方、ハイパースケーリング則の成立しない5次元以上の場合は、系をスケールする長さの臨界指数は相関長の臨界指数vではなく、v'=2/dであることが推定される。臨界点からずれた場合の配位の次元は、低温側では秩序相のため格子の次元dが得られ、高温側ではランダム相のため中心極限定理より予想されるd/2が得られる。appendixにモンテカルロシミュレーションをベクトルコンピュータで効率よく実行させる方法について記す。第2章要旨 動的臨界指数zの値については、およそ2ということ以外にははっきりとは分っていなかった。2次元イジングモデルについての最近の研究は2.1付近に落着いているようである。本章では、2次元イジングモデルについてzを評価した。臨界点で異なる大きさの系の相関時間をモンテカルロシミュレーションにより計算し、有限サイズスケーリングを仮定して求めた。その結果はz=2.132±0.008である.この結果は、RaczとCollinsによる予想値17/8を支持する。このシミュレーションは専用計算機m-TISにより行なった。この計算機は、イジングスピンのモンテカルロシミュレーションを高速で行なうために我々が設計、製作したものである。ホストコンピュータから転送された系の局所情報に基づきシミュレーションを行なって、結果をホストに返すというものである。システムは、ホストコンピュータ、クロック発生器、局所情報レジスタ、スピンフリッパ、乱数発生器および磁化測定器からなる。ホストコンピュータが十分に速ければ、一秒間に5Mスピンを扱う能力を持つ。現在のホストEPSON PC286の場合、三次元強磁性イジングモデルで一秒間に約2Mスピン扱える。accendixにシステムの概要を示す。第3章 鈴木により考案されたCAM(coherent-anomaly method)は、複数の分子場近似から正しい臨界指数を評価する方法である。CAMは、近似の度合いによるスケーリング(finite-degree-of-approximation scalling)を導入し、そのスケーリング指数と近似によりえられる指数とから真の臨界指数を評価する方法を与える。現在までに、イジングモデル、スピングラス、パーコレーション等に応用され、有効性が確認されている。本章は、この方法をハイゼンベルグモデルに応用した結果を示す。分子場近似として、Weiss近眼、Bethee近似、constant coupling近似を使った。その結果、ハイゼンベルグモデルの場合にもCAMは機能する様であるが、よい値を得るためにはさらに大きいクラスターでの分子場近似が必要である。
記述: この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/93122
出現コレクション:Vol.50 No.4

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