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タイトル: 液晶の秩序化過程に於けるパターン形成(修士論文(1987年度))
著者: 長屋, 智之  KAKEN_name
著者名の別形: Nagaya, Tomoyuki
発行日: 20-Dec-1988
出版者: 物性研究刊行会
誌名: 物性研究
巻: 51
号: 3
開始ページ: 304
終了ページ: 341
抄録: Allen-Cahnによって理論的に研究された非保存系界面の運動は、Cu3AuやNi3Mnなどの秩序-無秩序転移をする合金を急冷する実験によりX線などを使って観測することができるが、折原・石橋によるTNセル(Twisted Nematic Cell)を使った液晶の急冷実験では、界面の運動を偏光顕微鏡によりリアルスベース,リアルタイムで簡単に観測することができる。TNセルというのは、2枚のガラス板にネマチック液晶をサンドイッチ状にはさむ形に作製してある。液晶に接する上下のガラス板にはラビング処理が施してあり、ガラス面で液晶分子がラビング処理の方向に一様に揃えられている。上下のガラス板のラビング方向のなす角度をθとすると、θ=90°のTNセル(直交TNセル)を液晶の等方相の温度からネマチック相に急冷した後には、液晶分子はセルの上下方向に対して右90°ねじれた状態と左90°ねじれた状態が存在し、同じエネルギー状態をもつ2つの領域の境界に、S=1/2のディスクリネーションが出現する。ディスクリネーション時間発展には動的スケーリング則が観測されており、その相関関数は太田-Jasnow-川崎によって導かれたu場理論の結果とよく一致することが報告されている。本研究では、θを90°からずらしたTNセル(非直交TNセル)について取り扱った。非直交TNセルを急冷した後には、セルの上下方向に液晶分子が(π-θ)ねじれた状態とθねじれた状態が出現する。この2つの状態はエネルギーが異なる。ディスクリネーションは非保存2次元系の1次元界面に相当し、強磁性イジングモデルで考えると、θねじれの状態がup-spin,(π-θ)ねじれの状態がdown-spin,ディスクリネーションが磁壁に相当し、一様な上向きの弱い磁場が存在する場合に対応する。まず初めに、非直交TNセルのディスクリネーションの運動方程式を理論的に導出し、実験によりこれを確かめた。運動方程式は、υ=-Γ/R±D(90°-θ)( υは界面の法線速度、Γ,Dは運動係数、Rは曲率半径)と表される。実験結果によると、非直交TNセルの場合には動的スケーリング則は存在しないが、上式から特徴的長さと特徴的時間を定義し、それらにより空間と時間をスケールすると、各々の非直交TNセルに共通のパターンが存在することがわかった。そして、この様なスケール則が存在するのは、急冷直後のディスクリネーションの初期分布において、特徴的な長さのスケールが存在するからであることが、豊木・本田による初期分布を考慮したu場理論を適応することによりわかった。
記述: この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/93520
出現コレクション:Vol.51 No.3

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