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KJ00004755427.pdf | 1.14 MB | Adobe PDF | 見る/開く |
タイトル: | タングステン-ブロンズ型強誘電体物質Ba_2NaNb_5O_<15>の低温における短距離秩序 |
著者: | 菖蒲, 敬久 |
著者名の別形: | Shobu, Takahisa |
発行日: | 20-Jan-1997 |
出版者: | 物性研究刊行会 |
誌名: | 物性研究 |
巻: | 67 |
号: | 4 |
開始ページ: | 426 |
終了ページ: | 447 |
抄録: | タングステン-ブロンズ構造を持つ誘電体物質Ba_2NaNb_5O_<15>(略称BSN)は、約833Kで強誘電相転移をし、約573Kで(100)方向に不整合な周期をもつ変調波が出現し、不整合相へ転移する。これらの相転移により点群は4/mmmから4 mm、mm2へと変化する。これらのことは色々な実験事実から明らかになっている。また低温における誘電率の測定の結果から、約110K、約40Kでそれぞれ異常が見られている。ここで約110Kにおける異常は、高温相へのリエントラント相転移と言われている。しかしながらこのことに関してはっきりとしたものがなく、一方では相転移は起こすがそれがリエントラント相転移とは違うものであるという話もある。さらに複屈折率や、自発分極の測定では約110Kのみならず約200Kで大きく変化していることが明らかになってきた。この約200Kでの異常は、共同実験者である早大理工の藤城らのグループが測定した複屈折率や、自発分極にも現れている。それにもかかわらずこの測定では、約110Kでの変化はあまり見られなかった。この様に、BSNは高温側ははっきりとその相転移のメカニズムが分かっているのに対して、低温側はまだ不明確な点が多い。そこで本研究の目的は、X線回折法を用いてBSNの低温における振る舞いを構造の面から調べることである。装置は千葉大学野田研究室のX線二軸回折装置を使用し、ターゲットはMoで、50kV×60mAの出力で使用した。その回折強度をシンチレーションカウンターで検出し、また広い逆格子空間を一度に見るためにイメージングプレートを使用した。試料を低温にするためにはHeガス循環式冷凍機型のクライオスタットを使用した。測定の結果、(h k 0)面では約180Kにおいて格子定数及びBragg反射の強度に変化が見られたが、これらの変化だけから複屈折率や歪みなどに現れた変化とどう対応しているかは説明できなかった。次に超格子反射が出現する(h k 1/2)面において測定を行ったところ、約180Kより下の温度領域で超格子反射と超格子反射を結ぶ棒状の散漫散乱がa軸方向に現れた。詳しく調べた結果、この散漫散乱は(h k+1/2 1/2+n)上の超格子反射の間にしか出現しないことが分かった。カウンター法にてこの散漫散乱を測定した結果、強度が室温より温度を下げていくと約180Kから急激に増加しているのが観測された。半値幅については、約180K以上では有限の幅の棒状散漫散乱であり約180K以下では幅がなくなることが観測された。一方、15Kまで温度を下げてもこれ以外に特徴的な反射強度は観測されなかった。以上の測定の結果、BSNの複屈折率や自発分極などで見られた約180Kでの変化は、構造的には棒状の散漫散乱の出現に対応するものであると考えられる。さらに、この棒状の散漫散乱は、低温まで3次元的な秩序化がおこらないことがわかった。つまり、巨視的な量である複屈折、自発分極、歪などの約200Kでの異常はa面内の板状の秩序化が180Kより下で起こるが、a面内では絶対零度まで無秩序であるという一種のガラス状態としての短距離秩序が発生していることと密接に関係していることがわかった。 |
記述: | この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。 修士論文 |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/95973 |
出現コレクション: | Vol.67 No.4 |
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