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タイトル: <特集 : 日本哲学と科学>未来共創の哲学 --「自己・非自己循環理論」の提唱から、「大統一生命理論」の構築--
その他のタイトル: Philosophy of Advanced Future Studies: Construction of “A Grand Unified Life Theory” based on “Self-Non-self Circulation Theory”
著者: 村瀬, 雅俊  KAKEN_name
村瀬, 智子  KAKEN_name
著者名の別形: MURASE, Masatoshi
MURASE, Tomoko
発行日: 15-Feb-2022
出版者: 京都大学大学院文学研究科日本哲学史研究室
誌名: 日本哲学史研究 : 京都大学大学院文学研究科日本哲学史研究室紀要
巻: 18
開始ページ: 62
終了ページ: 117
抄録: 未曾有の災禍が絶えない混沌とした世界にあって、私たち人類は生まれ・育ち・老いて・死んでいく。生命還元論に基づいて二〇〇〇年に提唱した「自己・非自己循環理論」から二〇年を経た今、超学際研究への新たな展望が見えてきた。西田幾多郎の言う‘真実在’とは、私たち自身のことであり、私たちがその中で生まれ、死んでいく世界のことであった。そして、私たち人類が世界を理解するための方法論のことでもあった。「人間とは何か」、「世界とは何か」、「真理とは何か」。こうした哲学的課題の探究には、‘パラダイムシフト’が欠かせない。そのパラダイムシフトは、思索によって探究するばかりでなく、実践を通して体得し検証する必要がある。これが、私たち人類が集団においても、個人においても、時代を超えて取り組んできた‘超課題’である。しかも、その本質こそが「自己」である主体と「非自己」である客体の「循環」 --すなわち、「自己・非自己循環理論」-- であった。‘複雑な世界’を‘複雑な人間’が‘複雑な方法論’を用いることで、逆説的にすべてを‘単純に統一’して理解することができる。ここに、二十年の歳月を経て構築してきた「大統一生命理論」の基本原理がある。それは、この理論を創造する過程において必要となる方法論でもあった。その方法論こそ、複数の逆説(パラドックッス)、異なる概念間の類推(アブダクション)、多様な時間・空間スケール(フラクタル)を同時に駆使することである。実は、この三つの方法論上の特性は、冒頭に引用した文章の三つの主題 --すなわち、‘真実在における無限の対立’、‘二つの両立しない理論間の翻訳’、‘森と木の両方を捉える包括的知覚’-- と対応している。本稿では、「自己・非自己循環理論」と「大統一生命理論」について、それらの理論が創造される過程も含めて論究した。結果的には、次の三つの課題について論考することになった。第一は、「自己遡及性」である。すなわち、この複雑な方法論が二〇年前に構築した「自己・非自己循環理論」の本質へと遡及が可能である。第二は、「自己言及性」である。すなわち、その方法論を‘いま’、‘ここ’において駆使すること --本特集「日本哲学と科学」における文理融合・異分野交流・東西対話を推進すること-- によって、世界(非自己)ばかりでなく自己に対する「ものの見方」が変容する。その変容を介して、世界と自己の理解が深まり、自己への言及が可能となる。第三は、「自己超越性」である。すなわち、この方法論を用いることによって「ものの見方」が変容することは、自己自身の変容 --ひいては、自己自身を超える自己超越性-- の前提条件となる。その結果、世界に対してもこれまでとは異なる働きかけが可能となり、自己と世界(非自己)の‘新たな’循環による未来共創をもたらす。この「未来共創の哲学」という超学際的な新学術領域を構築するためには、教育や医療の現場のみならず、あらゆる領域、さらには日常・非日常的なすべての人間活動の場面において、実践と検証を積み重ねていくことが必要である。ここに‘超課題’の本質が秘められている。
記述: 本研究は、「京都大学研究連携基盤・未来創成学国際ユニット」(二〇一六年七月~二〇二〇年三月)による研究プロジェクト、ならびに「京都大学こころの未来研究センター」人文社会科学・文理融合的研究プロジェクト【未来創成学の挑戦 --ポストパンデミックと共創力--】(研究代表者・村瀬雅俊)による研究助成を受けて実施されました。
URI: http://hdl.handle.net/2433/268957
出現コレクション:第18号

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