高所環境とグローバリゼーション : 生活習慣病と老化の変容

Abstract

ヒマラヤ・チベット高所のグローバリゼーションの浸透の異なる地域を比較することによって, 生活習慣病と老化の変容の実態が明らかになってきた. 高所環境適応への長期の歴史との密接な関連の中で, 生活習慣病の変容が, 今まさに起こっていること. また, 最近のグローバル化のライフスタイルの変化による, 健康や老化の変容への影響が非常に大きいことである. さらに, 今後の課題としては, 高所の特徴である低酸素に対する進化的身体的適応が, 生活習慣病の発症や老化の変容に予防的に働くのか, あるいは, 促進しているのか. 高所への文化的適応としての高地文明と, グローバル化による生活の変化の中で, どのように, 老人のQOL の向上につなげていくべきかを追求していく必要がある.

Elderly highlanders have had long-term adaptation to the harsh environment of hypoxia and low food resources; however, rapid changes in life styles associated with the progress of global modernization and urbanization might overwhelm high altitude adaptation with lifestyle-related diseases and the change of ageing in elderly highlanders in Himalaya/Tibet. Worthy of study is the question of whether elderly highlanders who have had evolutionary adaptation to hypoxic environments are vulnerable to lifestyle-related diseases associated with globalism.