ダウンロード数: 1393
このアイテムのファイル:
ファイル | 記述 | サイズ | フォーマット | |
---|---|---|---|---|
eda66_069.pdf | 1.54 MB | Adobe PDF | 見る/開く |
タイトル: | 私と汝が「絶対の他」であるということ --木村敏は西田幾多郎の「私と汝」をどう読むか-- |
その他のタイトル: | How Can I Be the "Absolute Otherness" for You?: Kimura Bin's Interpretation of Nishida Kitaro's I and You |
著者: | 髙谷, 掌子 |
著者名の別形: | TAKAYA, Shoko |
キーワード: | 木村敏 西田幾多郎 私と汝 絶対の他 Kimura Bin Nishida Kitaro I and you absolute otherness |
発行日: | 26-Mar-2020 |
出版者: | 京都大学大学院教育学研究科 |
誌名: | 京都大学大学院教育学研究科紀要 |
巻: | 66 |
開始ページ: | 69 |
終了ページ: | 82 |
抄録: | 本稿は、精神科医である木村敏(1931-)による西田哲学の「絶対の他」概念の解釈に注目して、<他者の苦しみに近づきつつ距離をとること>の意味を考察する。木村は、ハイデガーやビンスヴァンガーに影響を受けた現象学的精神病理学から出発しながら、京都学派の思想にも依拠しつつ、「あいだ」をキーワードとする臨床哲学を築いてきた。精神病を患者個人の異常としてではなく、医者と患者双方の「あいだ」に生じる出来事としてとらえる一方で、患者のみを「診断」し「治療」する木村の立場には葛藤が含まれている。この葛藤は、西田幾多郎が「絶対の他」という一語によって、「私と汝」の隔たりと結合を表したことと重ねられ、木村のテクスト中に繰り返し登場する。本稿は、木村の医師論、症状論、治療関係論における「絶対の他」概念の解釈および生命論におけるその乗り越えを検討したうえで、「生きる」という語に集約される関係の重層性を明らかにする。 This paper explores the meaning of approaching and keeping a distance from the suffering of others by focusing on Kimura Bin's interpretation of the concept of "absolute otherness" of Nishida Kitaro. Kimura, a Japanese psychiatrist, started in the field of phenomenological mental pathology following Heidegger and Binswanger, and continued to create a new field of clinical philosophy with the keyword of "aida" [between], influenced by the philosophers of the Kyoto School, such as Nishida and Watsuji Tetsuro. His theory that mental illnesses are not abnormalities of individual psyches but events that happen only "between" person and person is seemingly against the fact that it is only patients that should be diagnosed and cured. This difficulty resonates with Nishida's "absolute otherness, " which means both distance and unity of "I and you." This paper examines Kimura's interpretation of "absolute otherness" in his theory of doctor, symptoms, and curing relationship, and his further exploration of "life" to clarify the multiple layers of relationships in what he means by "living." |
URI: | http://hdl.handle.net/2433/250368 |
出現コレクション: | 第66号 |
参考文献: | 西田, 幾多郎. "私と汝". 場所・私と汝 : 他六篇. 岩波書店, 1987, p. 307. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN01615356 西田, 幾多郎. "私と汝". 場所・私と汝 : 他六篇. 岩波書店, 1987, p. 318. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN01615356 木村, 敏. いのちの臨床. 青土社, 2017, p. 318. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB23342558 西平, 直. ライフサイクルの哲学. 東京大学出版会, 2019, p. 337. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB28115655 木村, 敏. 自覚の精神病理 : 自分ということ. 紀伊國屋書店, 1970. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN1068621X 木村, 敏. 初期自己論・分裂病論. 弘文堂, 2001, p. 215. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA51758240 木村, 敏. 反科学的主体論の歩み. 弘文堂, 2001, p. 298. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA53576324 木村, 敏; 檜垣, 立哉. 生命と現実 : 木村敏との対話. 河出書房新社, 2006, p. 136. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA79175351 木村, 敏. 木村敏著作集. 弘文堂, 2001. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA5175688X#ref 木村, 敏. 関係としての自己. みすず書房, 2005. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA71770136 木村, 敏; 檜垣, 立哉. 生命と現実 : 木村敏との対話. 河出書房新社, 2006. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA79175351 木村, 敏. 精神医学から臨床哲学へ. ミネルヴァ書房, 2010. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB01896567 木村, 敏. あいだと生命 : 臨床哲学論文集. 創元社, 2014. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB17140504 木村, 敏. いのちの臨床. 青土社, 2017. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB23342558 阿部, あかね. "1970年代日本における精神医療改革運動と反精神医学". Core Ethics. no. 6, 2010, p. 1-11. http://doi.org/10.34382/00005449 デービス, B.. "二重なる〈絶対の他への内在的超越〉―西田の宗教哲学における他者論". 日本哲学史研究. no. 9, 2012, p. 102-134. http://hdl.handle.net/2433/250593 藤田, 正勝. 日本哲学史. 昭和堂, 2018. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB27079137 Heisig, J.W.; Kasulis, T.P.; Maraldo, J.C. (eds.). Japanese philosophy: a sourcebook. University of Hawaiʿi Press, 2011. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB06508439 檜垣, 立哉. 日本哲学原論序説 : 拡散する京都学派. 人文書院, 2015. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB1891357X 喜多, 源典. "西田哲学における「他者」と「超越」". 西田哲学会年報. no. 12, 2015, p. 57-75. https://doi.org/10.32133/jnpa.12.0_57 高坂, 正顕. "西田幾多郎先生の生涯と思想". 西田哲学. 理想社, 1965, p. 5-234. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN05470914 中村, 雄二郎. 西田幾多郎Ⅰ. 岩波書店, 2001. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA50238482 西田, 幾多郎. "私と汝". 場所・私と汝 : 他六篇. 岩波書店, 1987, p. 265-355. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN01615356 西田, 幾多郎. "自覚について". 自覚について : 他四篇. 岩波書店, 1989, p. 177-267. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN04135572 西平, 直. ライフサイクルの哲学. 東京大学出版会, 2019. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB28115655 西山, 詮; 高畠, 克子. "反精神医学とその功罪". 心理臨床大事典. 培風館, 1992, p. 756-760. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN08359560 野家, 啓一. "解説―精神医学と哲学のあいだ". 自己・あいだ・時間 : 現象学的精神病理学. 筑摩書房, 2006, p. 459-472. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA76748961 野間, 俊一. "木村敏の思索の軌跡―あとがきに代えて". いのちと病い : 〈臨床哲学〉に寄せて. 創元社, 2012, p. 119-143. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB11171083 清水, 健信; 松本, 卓也. "人間学的精神病理学の現在―「人間」から〈脳〉へ". 精神科治療学. vol. 33, no. 2, 2018, p. 59-66. https://ci.nii.ac.jp/naid/40021504208 白井, 雅人. "否定性と当為―後期西田哲学の展開に向けて". 西田哲学会年報. no. 4, 2007, p. 141-156. https://doi.org/10.32133/jnpa.4.0_141 鈴木, 茂. "解説". 時間と他者/アンテ・フェストゥム論. 弘文堂, 2001, p. 426-437. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA5218603X 髙谷, 掌子. "西田哲学における他者の問題―論文「私と汝」を中心に". 教育哲学会第61回大会一般研究発表、当日配布資料. 2018, p. n/a. 西田哲学における他者の問題―論文「私と汝」を中心に 田中, 毎実. 臨床的人間形成論の構築―臨床的人間形成論 第2部. 東信堂, 2012. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB09238013 和辻, 哲郎. 人間の学としての倫理学. 岩波書店, 2007. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA82181294 ヴァイツゼッカー, V. v.. ゲシュタルトクライス : 知覚と運動の一元論. みすず書房, 1975. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN00608741 矢野, 智司. 幼児理解の現象学 : メディアが開く子どもの生命世界. 萌文書院, 2014. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB15354802 |
このリポジトリに保管されているアイテムはすべて著作権により保護されています。