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タイトル: 存在論から見た自立・自律 --M・ハイデガー『存在と時間』の自己論を手がかりに--
その他のタイトル: Self-help and Autonomy from an Ontological Perspective: According to Heidegger's Concept of Self in "Sein und Zeit"
著者: 森, 七恵  KAKEN_name
著者名の別形: MORI, Nanae
キーワード: 存在論
自立
自己
ontology
self-help
self
発行日: 26-Mar-2020
出版者: 京都大学大学院教育学研究科
誌名: 京都大学大学院教育学研究科紀要
巻: 66
開始ページ: 111
終了ページ: 124
抄録: 本稿では、ハイデガーの自己論を手がかりに、教育学における「自立」と「自律」を存在論的な視野から検討する。依存から自立・自律へという発達図式を問い直し、自立・自律を他者との関係性に置き直す近年の教育学の議論に対し、ハイデガーの自己論は何を示すか。『存在と時間』において「自己」とは、「本来的な自己存在」と「ひと-自己」との「様態変化」であり、かつ自己である「事実性」と自己でありうる「実存論性」との統一運動である。そしてこの統一運動が<自立性(Selbständigkeit)>である。というのもそれは、固有な自己でありうる「可能性」(実存論性)の立て続けの「到来」として、立て続けに(ständig)固有の自己(Selbst)になることなのである。ただしその実存論性の到来は、もののもとで、他者と共に在る事実性として成り立つ。そこで、教育学が他者との関係に焦点化して論じる自立・自律は、この立て続けの統一運動としての<自立性>の一部に位置づけられる。
This paper presents an ontological discussion about the concepts of self-help and autonomy. In pedagogy, these ideas are often discussed from the perspective of human relations. On the other hand, Heidegger's ontological concept of "self-help" (Selbständigkeit) is related to self-formation, and discusses the change each time and the constant coming of originality. This occurs in the relationship between self and things and others. The self understands things and others, and this relationship is called being-in-the-world. In addition, this involves understanding the possibility of death. In this relationship with possibility, self-formation occurs each time. From this ontological perspective, pedagogical self-help and autonomy in human relationships is one part of "self-help" (Selbständigkeit), as human relationships are one part of being-in-the-world and being-in-the-world as a total being is related not only to other things and other people but also to the possibility of death.
URI: http://hdl.handle.net/2433/250371
出現コレクション:第66号
参考文献:Heidegger, Martin. Sein und Zeit. M. Niemeyer, 2006. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA82035350
渡邊, 二郎. "真理と非真理、もしくは本来性と非本来性―ハイデッガー『存在と時間』研究覚え書き". ハイデッガー. 筑摩書房, 2011, p. 145. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB03690573
下司, 晶. 「甘え」と「自律」の教育学 : ケア・道徳・関係性. 世織書房, 2015. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB18680926
Heidegger, Martin. Sein und Zeit. M. Niemeyer, 2006. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA82035350
ハイデガー(著); 原, 佑(訳); 渡邊二郎(訳). 存在と時間. 中央公論新社, 2003. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA61893071
ハイデガー(著); 熊野, 純彦(訳). 存在と時間. 岩波書店, 2013. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB12218364
[ハイデッガー, マルティン(著)]; 辻村, 公一(訳); ブフナー, ハルトムート(訳). 有と時. 創文社, 1997. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA3365447X
森, 一郎. ハイデガーと哲学の可能性 : 世界・時間・政治. 法政大学出版局, 2018. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB26720902
田鍋, 良臣. "『存在と時間』における自己の問題―「自立性」について". 宗教哲学研究. vol. 24, 2007, p. 85-98. https://doi.org/10.20679/sprj.24.0_85
渡邊, 二郎. "真理と非真理、もしくは本来性と非本来性―ハイデッガー『存在と時間』研究覚え書き". ハイデッガー. 筑摩書房, 2011, p. n/a. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB03690573
和辻, 哲郎. 人間の学としての倫理学. 岩波書店, 2007. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA82181294

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